ホモシスチン尿症の症状

ホモシスチン尿症は、出生時は症状がなく、主に新生児マススクリーニング検査で血中のメチオニン濃度が高いことから発見されます。治療しないで放置すると加齢とともに、目、骨格、血管、中枢神経などに症状が現れてきます。
  
目の症状としては、水晶体脱臼(水晶体が本来の位置からずれる)が原因の視力低下や緑内障を引き起こします。骨格異常の症状には、骨粗鬆症、高身長、手足や指が長くなる、側弯症(脊椎が湾曲する)などがあります。また、1~2歳頃から発育の遅れが目立ち、知的障害や精神障害などが見られ、約半数でてんかんを引き起こします。血栓や肺塞栓を起こすと死につながることもあります。

ホモシスチン尿症の原因

メチオニンは体内で合成できない必須アミノ酸の1つです。メチオニンは、体内で中間生成物であるホモシステインを生成します。通常は、ホモシステインはシスタチオニンβ合成酵素によりメチオニンを再生したり、システインさらにはシスチンという別のアミノ酸を生成したりします。
  
ホモシスチン尿症は、シスタチオニンβ合成酵素の先天的な欠損により、ホモシステインが血中に蓄積することによりおこります。ホモシスチン(ホモシステインの重合体)が尿中に大量に排泄されます。また、メチオニンを正常に代謝できないことから、血中のメチオニン濃度も上昇します。

ホモシスチン尿症の治療法

日本では出生時のマススクリーニング検査によりホモシスチン尿症を発見し、早期に治療を開始することで合併症を防いでいます。治療はメチオニンの量をコントロールする食事療法が基本です。
  
シスタチオニンβ合成酵素を補う酵素の、ビタミンB6の投与が有効な場合、ビタミンB6投与+低メチオニン食・シスチン添加の食事療法が有効です。2014年1月に「ベタイン」という新薬が認可され、ビタミンB6に反応しない患者に対し、食事療法に併せてベタインを投与することで血中のメチオニンのコントロールが可能になりました。