有名人などのカミングアウトなどでも話題となる「アダルトチルドレン」という言葉。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。いっぽうで、言葉は聞いたことがあるものの、どのような状態を意味しているのか知らない方お多いのではないでしょうか。

今回は、そんなアダルトチルドレンについて、医師に解説いただきました。

アダルトチルドレンは病名ではない。

アダルトチルドレンを一種の病気と考えられている方もいるかもしれませんが、これは一般的な精神病などを意味する病名ではありません。次のような環境下で育った子どもが、大人になってからもその影響で生きていく上で、さまざまな障害やツラさを感じている状況にある人々のことを指します。

<アダルトチルドレンを生み出す環境>
・両親、あるいは保護者からの虐待
・育児放棄などのネグレクトを受け手育った
・一緒に住む大人がアルコール依存症
…など。

このような何らかの問題のある家庭環境の中で子ども時代を過ごした人は、その経験がトラウマになってしまうケースが非常に高いといえます。

アダルトチルドレンの特徴

・行動や感情、言動が過去の記憶に大きく左右されてしまう
・無意識に人の気分を損ねる、あるいは過度に合わせてしまう
・自己評価が異常に低い
・対人関係が極端に苦手
・不安やイライラ感が常にある
・意見を主張できない
・悲観的になりやすく、無気力
・うつ病やパニック障害、不安障害、機能性障害などの精神疾患を併せ持つことも

これらの症状は、いわゆる崩壊している家庭内で刷り込まれてしまった行動、言葉、思考、コミュニケーション方法などが影響していると考えられます。

改善する方法は…

アダルトチルドレンと呼ばれる状態にある人は、子どものときからの影響にとらわれていることが多いため、過去や自分の昔の家庭環境は変えられないという事実を受け入れ、自分と家族を認め、自己評価を高めることが大切となります。

【医師からのアドバイス】

症状の改善に、カウンセリングを行ったり、考え方を改める認知療法などが行われることもあります。また、不安やパニックなどが強ければ、不安障害などへの対策として、抗不安薬などの内服治療が有効になる場合もあるので、もし思い当たる節のある方は一度、専門家に相談されることをおすすめします。

(監修:Doctors Me 医師)