運動性無月経」あまり聞きなれない病名ではないでしょうか? これはその名の通り、運動によって無月経を引き起こす状態をいいます。運動が原因となるため、特にアスリートの女性には起こりやすいといわれています。

今日はこの「運動性無月経」について、医師に聞いた詳しい話をお伝えします。

骨粗鬆症の症状も?運動性無月経の症状と原因

元々順調に生理がきている人も特発的に発症する可能性があるので、運動性無月経については誰もがも知っておいたほうがよい病態です。

【症状】
過度な運動は体の負担となり、エストロゲンと呼ばれる、排卵するのに重要なホルモンが減少し、排卵が止まってしまいます。

運動性無月経は、排卵が止まり生理来ないほかにも症状があります。過度な運動によるエストロゲンの減少は閉経並みの症状となり、骨粗しょう症になるなど、若い年であったとしても骨がもろくなってしまいます。そのため、疲労骨折を起こすことがあり、長距離選手や、新体操など疲労骨折を繰り返し、選手生命が短くなる方も多くいます。

【原因】
過度な運動によって体重が極端に減少したり、女性ホルモンのバランスの乱れが原因だと考えられています。

運動することで体重が減少することはご存知だと思いますが、女性ホルモンは基本的に女性の体形をふくよかに整える方向に働いていて、急激な体重減少によりBMI(「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」の体格指数)が18~19以下にまでまで減少すると生理が止まると言われています。

スポーツによっては必要に迫られてダイエットを行っている場合もあるでしょう。また、運動部での精神的ストレスなどで生理が止まることもあります。特に若い女性に発症しやすく、中学生や高校生から悩んでいる人もいます。

運動性無月経の治療と予防

【治療方法】
基本的にはホルモン製剤を使用したホルモン治療が主となります。しかし、無月経の原因を取り除かなければ回復するのも難しいため、運動を制限することも必要です。また、運動をある程度まで減らしても、運動自体は体の負荷になることから、十分な休息も大切になります。

正常な生理や、妊娠には体脂肪率が22%以上が必要であり、体脂肪率低い人は、バランスの良い食事量を摂取し、体脂肪率を増やす生活も求められます。

無月経が続くと、次に生理が来るまで時間を要します。年齢を重ねると生殖機能も衰えてしまうため、回復しにくくなります。治療するにあたっては、年齢、既婚か未婚か、妊娠希望の有無などによって治療目的が異なってきます。

【予防】
運動性無月経は治療のために、運動を控えるなどの犠牲が伴います。無月経を予防し、また負担の少ない治療をするためには、事前から運動をすることによる無月経の理解が必要です。

日常的に運動を行っており、生理不順を感じた場合には直ちに病院へ受診しましょう。早期からの治療がなによりも大切です。

医師からのアドバイス

運動は健康には大切なものです。しかし女性は運動によるリスクも理解し、自分に合った運動量というものを知り、自分の体を守る事も大切です。

(監修:Doctors Me 医師)