男性特有の病気である前立腺がんは、近年、日本で増加の傾向があります。目立った症状がないといわれているので、もし気づかないうちに進行していたら…と思うと怖いですね!

今回はこの前立腺がんについて、医師に詳しい話を聞いてきました!

前立腺がんの原因と症状

【原因】
前立腺がんの原因と考えられる確実なものはありませんが、以下の要因が影響している可能性があると考えられています。

1. 遺伝要因
高齢者や家族に前立腺がんの人がいると頻度が増えますので、何らかの遺伝的環境的な原因があると考えられます。

2. 環境的原因
乳製品や脂肪分の多い肉類に偏った食生活にはリスクがあると考えられています。

3. 加齢
加齢による影響もあるようです。

【症状】
症状として特徴的なものはありませんが、前立腺肥大を合併することが多いので、尿が出にくい、特にトイレに立って尿が出るまでに時間がかかる、頻尿、尿のきれが悪い等があります。

ただこれらの症状は前立腺がんの直接の症状ではありませんし、特に前立腺がんの初期は症状がないと考えた方が良いでしょう。

目立った症状がないなら、どうやって発見すればいいの?

前立腺がんは骨に転移しやすいので、転移した骨の部分に痛みがあったりします。しかし骨に転移してしまうとステージが進んでしまうので、その前に発見することが重要です。

症状だけからは早期に前立腺がんを見つけることはできないので、主に人間ドックなどによる早期発見が治療の鍵となります。

前立腺がんがあると血液中のPSAという腫瘍マーカーが上がることが知られていますので、血液検査でPSAを調べることによって、前立腺がんを早期に見つけることが可能になります。50歳を過ぎたら定期的に検査を受けましょう。

前立腺がんの検査・治療法・予防法

【検査】
症状やPSAの結果から前立腺がんが疑われるとエコー、CTやMRI検査で前立腺の検査を行います。これらの検査で前立腺がんが疑われると、組織検査が必要となります。

胃や大腸とは違って前立腺は内視鏡では検査ができません。前立腺は直腸の前に接してありますので、直腸から針を刺して前立腺の組織を取る検査を行います。これによって前立腺がんがあるかどうかを診断することができます。検査は入院して行うことがあります。

【治療法】
治療法は年齢と癌のステージによって異なりますが、手術、放射線療法、ホルモン療法とがあります。

1. 手術
手術は下腹部を切って癌を摘出します。

2. 放射線療法
放射線療法は約1ヶ月間放射線をあてます。

3. ホルモン療法
前立腺がんは男性ホルモンによって大きくなる傾向があります。男性ホルモンを抑制する薬によって前立腺がんは小さくなることが期待されるので、注射や内服薬で治療をします。また、男性ホルモンを作る精巣を手術で取り除くことによって男性ホルモンを下げる治療法もあります。

実際にはこれらの治療を組み合わせて治療を行います。


【予防】
原因が年齢や遺伝的な要素が大きいので予防することは難しいです。予防法としては脂肪分が多い食品を避けて、大豆タンパクを多く取ることが有効である可能性があります。

しかし確実な予防法ではないので、定期的な検査で早期に前立腺がんを発見することが何より大切です。

医師からのアドバイス

前立腺がんは他の癌とは異なり、進行が非常にゆっくりですし、転移も原則的には骨が多いので、症状をコントロールすることも難しくはありません。たとえ前立腺がんが見つかっても、前立腺がんだけで命を落とすことはまれですので、過剰な心配な不要です。

(監修:Doctors Me 医師)