慢性的な腰痛持ちで困っているという方は多いものですが、実はその原因は、ヘルニアによるものかもしれません。

今回は、椎間板ヘルニアの原因と対処法について医師に解説してもらいました。

よく耳にするけど…そもそもヘルニアって?

ヘルニア(hernia)とは、体の中の臓器などが、もともとあるべき場所から脱出してしまったり、突出してしまった状態にあることをいいます。

ヘルニアは様々な場所でみられ、いわゆる脱腸と呼ばれる「腹壁の裂け目から腸などがでてしまう」ことや、鼠径ヘルニアや、でべそといわれる臍ヘルニアなどもヘルニアのひとつです。
体の外側ではなく、体の内側で脱出するケースでは、横隔膜ヘルニアなど肺などが圧迫されることもあります。

椎間板ヘルニアの原因は?

腰痛の原因になりやすい、椎間板ヘルニアもヘルニアの一種です。
腰は、腰椎骨仙骨、そして椎間板という、それぞれの骨の間にあるクッションのような役割をする軟骨からなっています。
この椎間板のまわりは繊維輪といい、その中に髄核があります。これらの後ろには脊柱管という管が腰骨の中にあって神経が通っています。この繊維輪の部分が裂けて髄核が出っ張ったりすることで、神経を圧迫して痛みやしびれ、麻痺などを起こすのが腰椎椎間板ヘルニアです。

原因として、以下のことが考えられます。
・長時間の座位などの同じ姿勢
・かがんでの作業の継続
・スポーツ
・腰の筋力の低下

椎間板に無理な負荷が続くことで変性した状態になります。
そこに、なんらかの刺激がきっかけとなり、髄核などがとびたしてヘルニアは起こります。

椎間板ヘルニアの種類は?

椎間板ヘルニアは、髄核がどの程度飛び出しているかにより、以下のように種類がわかれます。

・脱出型ヘルニア
繊維輪にひびが入り、そこから中の髄核が完全にとび出す状態となります。激しい症状が起こりますが、数ヶ月で症状が軽くなることが多いです。

・膨隆型ヘルニア
繊維輪にひびが無く、髄核が繊維輪から飛び出さないで、髄核と繊維輪がふくれて突出する状態となります。症状が長引くことが多いです。

・穿破脱出型ヘルニア
線維輪をつき破ってとび出た髄核が、椎間板と脊柱管の間にある後縦靭帯もつき破る状態となります。
自然消滅する場合もあります。

・遊離脱出型ヘルニア
後縦靭帯をつき破った髄核の一部が分離し、脊柱管内の別の場所に移動した状態です。自然消滅する場合もあります。

ヘルニアの症状は?

一般的に腰の痛みが有名です。ほかにも症状は広範囲に及びます。
・激しい腰痛
・太ももの後ろや外側にかけての下肢の痛みやしびれ
・足に力が入らなくなる など

また、しばらく歩くと下肢に痛みやしびれがでて歩行が困難になり、少し休むと症状が落ち着き再び歩けるようになる間欠性跛行と呼ばれる症状が起こることもあります。さらに症状が進んでいくと、排尿や排便障害が起こります。

椎間板ヘルニアの治療法は?

椎間板ヘルニアでは、症状がある時はできるだけ安静にします。
治療法としては、
・痛みに対して鎮痛剤を使う
・神経ブロックを行う
・理学療法を行う
これらの保存的な治療を行っても長期間効果がない場合や下肢の運動麻痺がひどくなったり、排尿障害などがでる場合などには、手術療法が行われます。

椎間板ヘルニアは、椎間板に負担がかかることで起こりやすくなるため、前途の原因となる行動はできるだけ控え、仕事である際は、定期的に休みを入れて行うようにすることが予防にとって大切です。

また、腰まわりの筋肉を鍛えることも効果的です。体幹トレーニングや、腰痛体操などを行うことが有効です。

【医師からのアドバイス】

椎間板ヘルニアになりやすい生活習慣がある人は、たかが腰痛と軽く考えず、生活習慣を見直しましょう。
また、肥満体型の人や、ストレスが多い人もなりやすいとされていますので、疑いのある人は体調に気をつけるといいですね。

(監修:Doctors Me 医師)