生理痛は個人差が大きく、また痛みに耐える能力にも個人差が大きいものです。「どこからが異常な痛み」という線引きは難しいですよね。でも日常生活が痛みのために妨げられるとか、以前と痛みの強さや性質が明らかに変わってきたという場合は、何らかの対策が必要かもしれません。

今回は、生理痛と似た痛みをともなう病気「子宮内膜症」について、医師に話を伺いました。

「子宮内膜症」ってどんな病気?

「子宮内膜症」とは、子宮の内側にある膜の一部が卵管を逆流してばらまかれ、おなかの中のスペースを内貼りするさまざまな構造に張り付いて増殖することで、症状を引き起こす状態です。

おなかの中のスペースには、腸管の外壁や、子宮と直腸の間の空間が含まれます。ばらまかれた子宮内膜組織は、普通の子宮内膜と同様に、月経周期に合わせてホルモンの影響を受け、増殖したり縮んだりしながら、周囲との癒着をつくります。

この癒着により、おなかの中のスペースにひきつれが生じます。すると、たとえば排便時に腸が動けなかったり、性交で膣が動くことで癒着した組織が動いて痛みが生じたり、卵管の自由な動きを妨げることで不妊の原因となったりします。

別名「チョコレート脳腫」とも

またこの子宮内膜組織は、卵巣の中に入り込んでかたまり状になることがあり、かたまりの内部を取り出してみるとチョコレートの溶けた液のように見えることから「チョコレート嚢腫」とも呼ばれます。これは時に数cmにまで大きくなります。

普段卵巣は1㎝程度の軽い臓器で、両端から靭帯でお腹の中にハンモックのようにつりさげられていますが、これが数センチメートルに肥大すると、ふとした拍子にハンモックがねじれてしまい、血流が閉ざされてしまいます。すると耐えられないような激しい痛みが生じます。

検査と治療方法について

子宮内膜症の診断は、血液検査超音波検査である程度予想がつきますが、厳密にいうと、お腹の中を開けてみないと診断がつきません。

現在ではお腹を切って開けることはせず、1cm程度の穴を複数開けて、中にカメラを入れて観察する腹腔鏡手術が行われます。また、子宮内膜組織を増殖させるホルモンの働きを止めるためのホルモン治療なども可能です。

医師からのアドバイス

子宮内膜症があると、月経痛の程度は強く、痛む期間も長くなります。また月経中以外にも、排便痛・性交痛があります。これらの症状がある場合は、ぜひ婦人科受診をお勧めします。

(監修:Doctors Me医師)