みなさんは「共感覚」という言葉を聞いたことがありますか。

 

最近メディアでも取り上げられることも増えていますが、まだよく知られておらず、幻覚など他の症状と勘違いされることも多いようです。

 

今回はこの「共感覚」について、精神科医の井上先生に解説していただきました。

 

 

共感覚っていったいなに? 

カラフルな世界

 

「共感覚」とは、1つの感覚刺激に対して、何種類もの感覚が反応する特殊な知覚のことをいいます。たとえば音楽を聞いたとき、音という聴覚の刺激だけでなく、色(視覚)を感じたり、または匂い(嗅覚)や味(味覚)を感じたりするものです。

 

共感覚の人はどれくらいいるの?

共感覚の人の割合については様々な意見が飛び交っており、詳細な数値はまだまだ分かっていないのが現状です。説によっては25人に1人とされることもあれば、2000人に1人と言われることもあります。

 

共感覚を持っている人はみんな同じ感覚なの?

共感覚の種類や同時に刺激される感覚の組み合わせは無数にあり、決まった形はありません。音から色を感じる共感覚を持った人同士でも、同じ音を聞いても一方は赤色を感じ、もう一方は青色を感じているということもあります。

 

共感覚は生まれつき持っているの?

共感覚は幼少期からみられることが多く、また自分以外も同様の感覚を持っていると思い込んでいることも多いです。

 

ただ、年齢を重ねても共感覚が弱まったり強くなったりすることはないので、ある時点で周囲との違いに気づきます。

 

 

共感覚とはどんな種類がある?

カラフルな音楽  

共感覚の例として、視覚刺激が味覚や色覚などを刺激することがあります。

視覚刺激が味覚や色覚を刺激する共感覚の例

・白黒の文字や数字を読むと、『あ』は黄色『1』は緑色など、文字に色がついて見える

・特定の人物やキャラクターを見たら、野菜の味を感じる

・音を聞いたときに、『ホ長調』は赤などキーに合わせて色を感じる

・PCの文字が急に浮かび上がって、3Dのようにねじれて見える

 といったものがあります。

 

 

どうして共感覚になるの?

現在、共感覚の原因は全て解明できているわけではなく、様々な仮説が検証されている段階です。ただ、脳の神経細胞の繋がりが影響しているのは確かなようです。

 

しかし、脳細胞の結合が強すぎて視覚情報が色覚情報まで刺激していることを原因とする仮説がある一方で、結合が弱すぎることが原因の可能性も指摘されているなど、その具体的なメカニズムについてはまだまだ分かっていません。

 

また、一部の脳細胞の結合が弱いために、その弱さをカバーしようと他の刺激部位が過剰に反応することが原因となっているという説もあります。

 

 

共感覚によって起こる問題は?

目を見開く女性

 

共感覚を持っていると、ものから見える色が完璧に気に入ったり、逆に全く気に入らずに引っかかたりすることがあります。たとえば、ある車種からは常に黄色を連想するような共感覚があると、眼の前に現れたその車が黒色だったときに納得できずにイライラしてしまうのです。

 

他には、「職場にあるコピー機は赤でないといけない」などのこだわりを持ってしまい、こだわりが満たされないと集中力を欠いてしまったり、さらには他者と衝突してしまうこともあります。

 

共感覚がある人は、音量の調節機能のように共感覚の強弱を調整することができると言われています。特に集中しなければならないときには、共感覚を意識して弱めるように調整するのが、上手く付き合っていくコツです。

 

 

最後に井上先生から一言  

共感覚を持っている方は、実はそこまで少なくないかもしれません。ただし、まだ今は彼らの声が十分に世間へと届いているとはいえないような状況です。

 

多くの人が共感覚の存在を知ることで、もっと手助けできることがあったり配慮できることがあるのではないでしょうか。