クリスマスも終わって、もうすぐお正月ですね。お正月といえば、1年の中で最もお餅を食べる機会が増えますよね。

 

実は、お餅は喉だけではなく、腸につまることもあるのだとか…。

 

今回は、お餅による腸閉塞について、井上先生に解説していただきました。

 

 

お餅が腸につまるとどんな症状が出る?

 

お餅が喉につまって救急車で運ばれる話はよく聞いたことがあるのではないかと思います。

 

しかし、お餅は喉をスムーズに通過しても、腸につまることがあります。これを「お餅による腸閉塞」といいます。腸閉塞とは文字通りで、腸が閉塞して(つまって)しまう病気です。

 

正常な腸であれば、口から入った食べ物は肛門に向かってスムーズに流れていきます。その流れていく過程で、各臓器から消化液が分泌され、再吸収されることで最低限の不要物が便として排出されます。

 

しかし、お餅で腸がつまってしまうと、お餅のあとに食べた物だけではなく、分泌された消化液も再吸収されず腸がどんどん膨れてしまいます。

 

その結果、最初はお腹が張る感じや吐き気便秘などの自覚症状があります。ひどくなると激しい腹痛嘔吐などの症状を引き起こします。

 

 

お餅が腸につまりやすい方

 

高齢者

お餅をよく噛まないことは、腸につまるリスク因子です。その観点からいくと、日頃から食べ物をしっかり噛めない人は、常にこのリスクを抱えていることになります。

 

特に高齢者は食べ物をしっかりと噛めない人も多いので、お餅を小さく切ってあげるなど周囲の方は十分に注意してあげてください。

 

胃の手術をした方

お餅の消化吸収スピードを無視して一度に大量のお餅を食べることも、腸につまるリスク因子となります。そのため、慌てずにゆっくり食べることが大切です。

 

この観点からいくと、胃の手術をした方も注意が必要になります。お餅をはじめとする食べ物は、一度胃に蓄えられてから、ゆっくりと腸に送り出されて、肛門のほうに移動していきます。

 

しかし、胃の手術をしたことがある人は、胃が通常より小さくなっていたり、無くなっていることがあります。そうなると、胃に蓄える時間がなく、短時間で大量のお餅が腸になだれ込む可能性があるのです。

 

 

治療方法は? 

 

腸閉塞は、治療として緊急手術をすることもありますが、お餅が腸につまったときは事情が少し異なります。

 

お餅の主成分は、でんぷんです。そのため、血圧や脈拍数などが安定していて、命の危険がないようであれば、緊急手術は行いません。

 

安静にしていれば、自然とつまったお餅が消化吸収されて、腸の通りが再びよくなることが多いです。ただし、しばらく食事も飲水もできないため、点滴での治療が必要になります。

 

また、激しい腹痛などが継続している場合は、鼻から胃に向かって管(経鼻胃管)を通して、その管からつまった物を少しでも取り出し、腸の中の圧力を減らす治療を行うこともあります。

 

他にも、管を胃までではなく、腸の奥まで入れる場合もあります。 

 

 

最後に井上先生から一言

 

お正月は、お餅を食べる機会が1年の中でもぐっと増えます。高齢の方の喉にお餅がつまっていなくても、お腹が痛いと訴えたときは注意してください。

 

強烈な腹痛や嘔吐が見られたときは、腸閉塞の可能性もあります。単なる食べ過ぎとして片付けることなく、早期に内科医や外科医がいる医療機関を受診してくださいね。