【Doctors Me編集部が行く!】『現在のがん治療と備え』に関する特別勉強会

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Doctors Me 編集部

2人に1人ががんを患う今、実際にがんになったらどうすればよいのか、いったいどれくらい治療費がかかるのか…心配ですよね。

そこでDoctors Me編集部は、2018年12月10日に野村コンファレンスプラザ日本橋で開催された『現在のがん治療と備え』に関する特別勉強会に行ってきました。今回は、気になる勉強会の内容をダイジェストでお送りします。

「現在のがん治療」

自身も膀胱がんの治療中という東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授が、がんについてお話してくださいました。

中川先生


がん細胞にとっては免疫が天敵


毎日5000個ほどできているがん細胞は、免疫細胞によってその都度殺されています。がん細胞にとって免疫細胞は天敵です。

長期間にわたってストレスを自覚している人は、がんのリスクが高くなります。これは、ストレスが免疫力を下げることが要因として考えられます。免疫力は、がんの予防にも治療にも非常に大事です。

話題のオプジーボという薬は、がん細胞に作用しているわけではありません。オプジーボは、がん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外して、本来の攻撃力を取り戻すことでがんを治していく薬です。

オプジーボは、メカニズム上は全てのがんに効くと言えますが、2018年現在、全てのがんで承認されているわけではありません。また、高額な薬のため、全て国民健康保険で賄われてしまうと問題が生じます。今後、制度が変わっていくと考えられます。

日本人はヘルスリテラシーが低い


ウイルス感染が原因となるがんの死亡者数について、肝臓がんや胃がんは減っているにもかかわらず、子宮頸がんだけ増えています。子宮頸がんはワクチンで防げるがんであるにもかかわらずです。

この状況には、日本人のヘルスリテラシーが低く、ワクチン後進国であるという背景があります。

日本人は、適切な保健の授業が行われなかったため、体についての知識を持っていません。

ヘルスリテラシーの測定尺度であるHLS-EU-Q47を使った調査では、日本は調査された15か国のうち最もヘルスリテラシーが低いことがわかっています。日本は、インドネシアやミャンマー、ベトナムよりもヘルスリテラシーが低いのです。*1

がんに関してはびこる迷信



日本人はドラマのイメージによって、がんは痛くて苦しい病気と思っている人が多い印象を受けます。しかし、早期のがんだと基本的に痛みはありません。

日本では、がん診断後の自殺率が高いですが、「がんは不治の病」と思っているからというのも要因でしょう。

また、よく「焦げ」を食べるとがんになると言いますが、がんになるにはトン単位で大量に焦げを食べなければいけません。日常生活上で食べる焦げの量では、全く問題はありません。

紫外線でがんになると言いますが、がん予防には紫外線を浴びることによって作られるビタミンDが大事ということがわかっています。

日本ではがんについて習っていないがために、このように様々な迷信がはびこっています。

がんはわずかな知識の有無で運命が変わる



欧米では、がんによる死亡者は減っている一方、日本では増えています。例えば大腸がんにおいて、アメリカのほうが患者数が多いにもかかわらず、死亡者数は日本のほうが多いんです。これは検便をして早期発見をしていたかどうかの差です。大腸がんの早期発見には、検便が重要なのです。

このように、がんはわずかな知識の有無で運命が変わる病気です。お金や人脈があってもヘルスリテラシーがないと、予後が良いがんでも命を落とすことになります。がんについて、正しい知識を持つことが必要です。

また、がんにならないために、生活習慣に気をつけて、タバコは吸わず、太りすぎず、痩せすぎないことが大切です。

「がんとお金」

自身も乳がんサバイバーであるファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは、がんとお金についてお話してくださいました。

ファイナンシャルプランナー 黒田さん

医療制度リテラシーも重要



がん患者さんは、「がんとお金」の何に悩んでいるのでしょうか。私が、主に受ける相談は3種類に分けられます。

・がんと支出
・がんと収入
・がん保障

このうち、「がん保障」については、公的な制度をフルに活用することをおすすめしています。しかし、そもそも制度や、その手続き先、自分に適用される制度なのかなど、公的な制度について知らない方が多い現状があります。

制度による恩恵は天から降ってくるものではありません。自分で制度を調べて自分で手続きをしなければなりません。ヘルスリテラシーが重要とありましたが、金融リテラシー、保険リテラシー、医療制度リテラシーも重要です。

がん治療費は「がんの種類と進行度+α」で大きく異なる



がんの治療費はステージなどで大きく変わってきますが、目安としては100万円と答えています。根拠となるデータ*2では、がん治療費の平均自己負担額は92万円と出ています。

もちろん多くの場合、がんが進行していればいるほど治療費はかかります。選んだ治療によっては+αでお金がかかるため、治療費はケースバイケースです。

がんを早期に発見して適切な治療を受けると、治療費は抑えられ、再発のリスクも低減することができますよ。

医療保険・がん保険の見直しを!



がんに対する保険の見直しは必須です。古いタイプの保険では、がん治療に対する保障が不十分な可能性があります。

保険の見直し先も大事です。保険会社や保険会社の代理店で見直しをすると、不必要なオプションがついてしまうこともあるようです。

多少お金はかかるかもしれませんが、長い目で見るとファイナンシャルプランナーに相談するのも良いと思います。また、今相談することがなくても、お金について相談できる場について知っておくことが大切です。

がんと就労・収入


がん治療費の一時的な支出増加よりも、がんが治った後の収入減少のほうがライフプランへのダメージは大きいです。そのため、安易に仕事をやめないようにしてください。

社内外の相談窓口を利用し、公的制度・社内制度を知って上手に活用しましょう。

がんになる前の備えが大事



お金も、保険も、情報も事前に備えることができます。情報に関しては、根拠のある正しい知識持つことが大事です。しかし、医療には、色々な制度があるうえに、改正もあります。正しい知識を持とうと思っても難しいと思います。

誰に相談すれば最新の情報を手に入れられるか、キーパーソンを複数人持っておくと良いでしょう。

編集部コメント

勉強会に参加して、「自分はがんになる」という前提で備えることが大事だと思いました。

また、リテラシーという言葉が多く出てきましたが、「がんについて知っている」というだけでここまで人生が変わるんですね…。

短絡的ですが、私はおもわず「がんにならなかったら100万円浮くのか!?」と考え、さらに健康に気をつけようと思いました。

皆さんも、必要ながん検診はきちんと受けて、早期発見していきましょう。

参考資料


*1:Duong TV, et al. Journal of Epidemiology. 2017;27(2):80-86.
*2:平成24年度厚生労働省科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担の在り方に関する研究」. 濃沼宣夫. 2013-03.
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