小さなお子さんが下痢をしていると心配になってしまいますよね。

 

今回は、赤ちゃんや小さな子どもの下痢について、症状や注意点について、小児科医の武井智昭先生に解説していただきました。

 

 

赤ちゃんの便とは

 

赤ちゃんの便は、もともとゆるめで、母乳・粉ミルク・離乳食と口にするものによって腸内細菌のバランスの変化による影響を受けます。

 

赤ちゃんに食欲があって、ご機嫌にしていれば問題のないことがほとんどです。

 

では、どんなときに注意が必要なのでしょうか。

 

 

子どもに多い下痢の原因・症状

 

白っぽく(薄い黄色)、泥状や水のような便

冬に多いロタウイルスによる胃腸炎が原因であることが多いです。下痢便ではないですが、灰白色のような白っぽい便で、皮膚や白目が黄色い場合は肝臓や胆道の病気の可能性があります。

 

血便

ドロっとしたジャムのような便は腸の病気(腸重積)や食中毒などでみられます。明るい赤色の血が混ざった下痢便も、細菌性腸炎(サルモネラ、カンピロバクターなど)の食中毒などの可能性があります。

 

発熱、下痢や嘔吐を繰り返し、不機嫌な状態、ぐったりした状態が続く

これらの症状は、ウイルス(ノロウイルスなど)や細菌が感染することで急性胃腸炎を起こしている可能性があります。

 

全身の症状を伴う

発熱以外にも、湿疹や咳があるなど、胃腸以外の感染症で下痢を伴う場合があります。突発性発疹でも、ときどき下痢の症状があることがあります。

 

また、抗菌薬を飲むことで下痢になることがあります。

 

ですが、抗菌薬は自分の判断で中止しては危険です。下痢がひどい場合は担当の先生に相談しましょう。

 

 

要注意!長引く子どもの下痢とは

 

子どもの下痢には、上記でご紹介したような急性の下痢の他に、2週間以上続くような慢性下痢症もあります。

 

学童期の子どもは、心理的なストレスにより下痢や腹痛を起こすことも珍しくありません。

 

また、食事が原因となることもあります。

 

牛乳を消化できないことによる乳糖不耐症や、小麦に含まれるグルテンが原因となるセリアック病などが代表的で、これらは病院での検査や治療が必要になります。

 

 

子どもの下痢、対処法は?

 

受診時に下痢便を持って行く

受診の際は、下痢便のついたオムツをビニール袋の中に入れ持って行くとよいでしょう。トイレでの排便の場合は、写真を撮って小児科の先生に便の様子を見てもらってください。

 

二次感染に注意する

感染性の強いウイルス性腸炎の場合は、保護者への二次感染に注意が必要です。

 

まずは手洗いをしっかり行いましょう。オムツ替えや吐物の処理の際は、使い捨てのマスクと手袋を装着して行ってください。

 

拭き取ったぺーパータオルやオムツは、ビニール袋でしっかりと密封して捨ててください。汚れた衣服は塩素系漂白剤で消毒しましょう。

 

水分補給

水分を補給しましょう。ただし、吐き気が強く、飲んでも吐いてしまうときは無理をせず、落ち着いてから飲ませましょう。

 

ミネラルも含まれている子ども用のイオン飲料を常温であげるのがおすすめです。はじめは小さじ程度から、次第に増量していきます。

 

母乳はあげても問題なし

下痢をしている赤ちゃんに母乳をあげても問題ありませんが、吐いてしまう場合は少しずつあげましょう。

 

粉ミルクは薄めに

粉ミルクを使っている赤ちゃんの場合は、ミルクを通常より薄めましょう。

 

食事に気をつける

下痢のときの食事の目安は、出ている便と同じくらいの固さのものがいいとされています。水のような下痢の場合は、重湯から始めて徐々に固さのあるお粥にしてあげましょう。

 

腸の乳糖分解能が低下しているため、牛乳は控えましょう。

 

おしりを清潔にする

おしりを清潔に保ち、かぶれを防ぎましょう。こまめにシャワーで優しく洗ってあげてください。

 

 

子どもの下痢、予防法は?

殺菌、消毒をしっかりする

食中毒の予防は、お肉などの食材にしっかり火を通すことや、調理器具の洗浄後に煮沸消毒や塩素系漂白剤を用いて殺菌することが効果的です。

 

ペットの糞なども原因となるため、気を付けましょう。

 

 

最後に武井先生から一言

 

子どもの下痢では、発熱・嘔吐・血便・活気低下を伴っている場合は、早めの受診をおすすめします。そのような症状がない場合は、栄養分・水分をしっかりとることが重要です。

 

また、子どもの下痢は成人と比べると長く続く傾向がありますが、全身の状態が落ち着いていれば自宅で様子をみてくださいね。

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。