骨粗しょう症という病名を聞いたことはありますか?
今回は、50歳以上の女性の4人に1人はかかっている「骨粗しょう症」について医師に解説していただきました。
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨の代謝バランスが崩れ、骨に「鬆(す)」が入った状態になることです。
骨が弱くなるため、体重を支える背骨の圧迫骨折や、 転倒時に足の付け根の大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)、手首の橈骨遠位端(とうこつえんいたん)、肩の上腕骨頸部(じょうわんこつけいぶ)の骨折などが起こりやすくなります。
骨粗しょう症の症状
1. 無症状の場合が多い
体の不調など、明らかな変化を感じない場合がほとんどです。
2. 気づかずに身長が縮む
「何cm縮んだら骨粗しょう症である」という明確な基準はありません。 25歳時の身長から4㎝以上低くなったかたは、背骨などを骨折するリスクが2倍以上高くなるという報告があります。
3. 背骨が圧迫骨折を起こす
姿勢が前かがみになっていきます。 壁にかかとをつけまっすぐに立ったときに後頭部が壁につかない、あるいは力を入れないと後頭部が壁につかないときは、背骨の圧迫骨折が疑われます。
身長の低下や前かがみになるような姿勢の変化に気付いたら、整形外科の先生に相談しましょう。
骨粗しょう症の原因
女性ホルモンの低下
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える「骨形成」を促すとともに、骨からカルシウムが溶け出す「骨吸収」を抑える働きがあります。
閉経をむかえると、エストロゲンは分泌量が急激に減少するため、骨密度が徐々に低下していきます。
そのため、50歳以上の女性の4人に1人は骨粗しょう症、または骨密度の低下した状態(骨粗しょう症の前段階)と言われています。なお、骨粗しょう症の患者さんは、女性800万人、男性200万人と推定されています。
加齢
骨は成長期に活発な代謝を繰り返して増加し、20歳前後で最大骨量に達します。
40代半ばくらいまでは一定の骨量を維持できますが、その後は加齢とともに徐々に減っていきます。そのため、高齢になると骨密度が低下した状態になりやすいです。
無理なダイエット
無理な食事制限による極端なダイエットも、骨粗しょう症の原因となります。
骨量は、思春期(小学校高学年から20歳頃まで)に一気に増えます。この大切な時期に極端なダイエットをすると、カルシウムやビタミンDといった骨を作るための栄養素が不足します。
また、骨を作る細胞を活性化させる女性ホルモンも減少するため、丈夫な骨が作られなくなってしまいます。
若い頃に無理なダイエットをしてしまうと、将来骨粗しょう症になりやすくなるため注意が必要です。
骨粗しょう症の予防法
家庭でできる予防法としては、何よりも禁煙、そして食事の改善が挙げられます。
1. 禁煙する
喫煙はカルシウムの吸収を阻害してしまいます。1人で禁煙が難しい場合は、禁煙外来に相談しましょう。
2. 過度なダイエットはしない
BMI18.5以下を目指すような過度なダイエットは、エストロゲンの減少につながり、骨密度が低下する一因となります。
3. 牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐などの大豆製品を積極的に食べる
高齢者でもカルシウムを1日に800mg以上を摂取することが推奨されています。乳製品、大豆製品にはカルシウムが多く含まれているため、積極的に食べましょう。
4. 太陽に当たる
週に数回ほど日差しの強い時間帯に15~30分くらい日光を浴びることで、ビタミンDの1日の必要量をほぼつくることが可能だと言われています。
もちろん、季節や地方によっても異なってくるため、日光を浴びることによる弊害を考えると浴びすぎには注意が必要です。
医師からのアドバイス
60歳を超えたら定期的に整形外科を受診して骨密度を測定し、必要時には治療を受けるようにしましょう。
カルシウムばかりとることを気にしがちですが、栄養バランスのよい食事を心がけるようにしてください。
(監修:Doctors Me 医師)