夏が近づき暑くなってくると、冷たい飲み物を飲みたくなりますよね。そのようなとき、手軽に水分補給できるのは、ペットボトル飲料です。

 

お茶や水、炭酸飲料、スポーツドリンク、コーヒー、紅茶など、さまざまなものが売られています。常温で保存しても腐りにくく、持ち歩けて便利なため、いつも手放せないという方も多く見受けられます。

 

ただし、いつもスポーツドリンクや甘い炭酸飲料ばかりを選んでしまうと、「ペットボトル症候群」になるリスクがあるそうです。 今回は、ペットボトル症候群とは何なのか、武井先生に解説していただきました。

 

 

ペットボトル症候群とは?

 

ペットボトル症候群の正式な名前は、「ソフトドリンク・ケトーシス」です。つまり、ソフトドリンクの飲み過ぎによって起こる急性の糖尿病による体調不良・ケトアシドーシスのことを指します。

 

口当たりがよいからと、スポーツドリンクなどの甘いペットボトル飲料を飲みすぎると、高血糖によってまた喉が乾き、また甘い飲料を飲むといった悪循環に陥ります。その結果、大量の糖分が体内に取り込まれることになります。

 

こうして、膵臓への負担が大きくなっていくと、ついには糖尿病になり、命に関わることもある糖尿病性ケトアシドーシスを起こしてしまうリスクがあるのです。

 

 

ペットボトル症候群の症状

ペットボトル症候群の主な症状は、以下になります。

・異常にのどが渇く

・尿が大量に出る

・全身倦怠感

・体重減少 など

 

これらは糖尿病に似た症状です。悪化すると嘔吐や腹痛を起こしたり、意識がぼんやりしたり、まひが生じます。呼吸が早くなったり、動悸を起こしたりすることもあります。

 

 

ペットボトル症候群を防ぐために

 

ペットボトル症候群を防ぐためには、まずジュース類に含まれる砂糖の量を理解することが大切です。

 

商品にもよりますが、甘い清涼飲料水100 mlには、10 gほどの砂糖が含まれていると言われます。

 

500 mlのペットボトルを飲んだ場合、50 gもの砂糖を摂取していることになります。お皿に盛ると結構な量があり、これを飲み続けることはよくないと実感できる量です。

 

夏になると、熱中症対策として水分補給が促されますが、水分なら何でもよいというわけではありません。

 

ペットボトル症候群を防ぐためには、水やお茶など無糖飲料を中心に水分補給しましょう。ミネラルが多い硬水や、ノンカフェインの麦茶もおすすめです。

 

 

最後に武井先生からひとこと

ペットボトル症候群は、近年提唱されてきた症候群の1つであります。どうしても暑い夏には、熱中症予防目的で水分・塩分の補給が重要です。その一方で糖分の取りすぎにも注意が必要です。

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。