7~8月が流行のピークとなるアデノウイルス感染症は、別名「プール熱」とも呼ばれています。学校や保育園のプールに入る時期に、小さな子どもの間で流行ると耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

今回は、アデノウイルスについて武井先生に解説していただきました。

 

 

アデノウイルスとは?

 

アデノウイルス感染症の1つのパターンは「咽頭結膜熱」です。 感染力が強く、口や目、喉や鼻などの粘膜から感染することが多いことが知られています。

 

特に小さな子どもが保育園や学校のプールでかかってしまうことが多いことから「プール熱」とも呼ばれています。

 

 

アデノウイルスの感染経路

主な感染経路は、2つです。

 

1. 接触感染

感染者のウイルスが他の人の目や鼻などの粘膜に触れることで起こるのが接触感染です。特にプールに入ったときに、水やビート板などを介したり、バスタオルを共有したりすることで、感染が広がります。

 

アデノウイルスは、便にも排出されることがあります。病み上がりでは、便などが付着しないように下半身をきれいにしてからプールに入らせるようにしてください。

 

2. 飛沫感染

ウイルスの入った唾液などが、感染者から他の人へ飛ぶことによって起こります。ドアノブなどについたウイルスに触れ、その手で鼻の粘膜を触ることでうつる可能性もあります。

 

アデノウイルスに感染した人が家族にいる場合は、ドアノブなども消毒しましょう。

 

 

アデノウイルスの症状とは?

アデノウイルスは、感染してから57日くらいで症状が現れます。症状は以下の通りです。

 

・咽頭炎(のどの痛み)

・結膜炎(目やに、目の充血)

・高熱(39℃以上)

 

これらの症状が出たら、アデノウイルス感染を疑いましょう。

 

アデノウイルスに感染した場合は、人にうつす可能性があるため、解熱して2日間は通勤・通学などが禁止されています。アデノウイルス感染症を疑う症状がある場合は、早めに受診して診断を確定するようにしましょう。

 

また、細菌感染とは異なり、ウイルス感染に抗菌薬は効きません。栄養・休養をしっかりとり、脱水予防のため水分補給を行います。

 

自身の免疫力によって回復するのを待ちましょう。ただし、症状が強い場合には、医師の判断で対症療法が行われることがあります。

 

 

アデノウイルスに感染しないためには?

 

アデノウイルスが流行する夏場は、特に、うがい・手洗いを徹底して体にウイルスを入れないようにしましょう。

 

また、大人でも体力が落ちていると抵抗力が低下し、感染しやすくなります。日頃から規則正しく睡眠と食事をとるように心がけましょう。

 

 

武井先生からのメッセージ

アデノウイルスに感染すると、発熱が長引き、結膜炎などの症状でつらくなることが多いです。特効薬はないため、自然治癒を待つことになります。

 

水分や栄養はしっかりとって、解熱してから2日間は休んでください。

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。