バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症の症状

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症は、感染しても症状が現れる人と、そうでない人がいます。不顕性感染といい、その菌に感染していても共存している状態で、健康で体力のある人は症状がでません。反対に、手術や寝たきりの状態で体力が落ちている人の場合は、肺炎、腹膜炎、敗血症などの感染症を引き起こします。
肺炎、腹膜炎にみられる特有な高熱や激しい咳など、ブドウ球菌による炎症を起こしている部位に、体力を奪う熱を持つことが特徴ですが、熱よりも問題になるのは、最強の抗菌薬であるバンコマイシンが効かないという点です。抗生物質や抗菌薬が効きにくく、熱が上がっても効果的に下げる手段はなく、本人の治癒力にかかってくることが問題となります。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症の原因

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症が発生する原因は、抗菌剤を使い続けたことによって、本来は人間に害をなさないブドウ球菌が耐性を持って変異したものということは知られています。抗菌剤や抗生物質を長期に使う時には、一回の入院につき7日間をめどとされていますが、肺炎を繰り返して短期の間に毎回使用すると、この感染症の発生頻度が高まります。

また、抗生物質を全く使っていないのに発症する場合は、人の手から手への伝播が考えられます。このブドウ球菌を保有している人のおむつや食事介助をした職員や家族の手を介して、抵抗力の無い方に触れて感染するケースもあります。このため、施設や病院では感染症の対策を十分に講じています。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療法

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症を予防するには、抵抗力を持ち、手洗いを十分にする感染症対策が重要となります。医療現場では手術場でこの菌を付けないように、完全に菌を無くす滅菌という状態で手術を行っています。また、傷がある場合や抵抗力が弱い患者に触れる時にも、素手で直接触れないように注意されています。
感染症を引き起こさないためにも、自分の抵抗力を上げて、抗菌剤が必要なくなる生活をすることも大切です。肺炎などの入院が必要となる病気を繰り返すときには、普段の生活を見直して、免疫を上げることも大切となります。