Q熱の症状

Q熱はほとんどの場合自然治癒性で、軽度の発熱がでるのみで特別な治療を必要とせず自然に治癒します。ひどい場合も、発疹はみられず、頭痛や熱、倦怠感、筋肉痛を示します。肺感染が必発しますが異型肺炎として現れることがあり、空咳、急速進行性肺炎、あるいは明らかな呼吸器症状のない胸部X線写真の異常所見を呈します。
多くの患者が様々な程度の肝脾腫を示します。
Q熱には、特徴的な症状や所見がないため、臨床的に他の感染性の呼吸器疾患などと見分けるのは困難ですが、動物との接触歴や感染流行地への海外渡航歴が疾患を疑う点となります。
  
また慢性感染の場合には、十数年もの間倦怠感や筋肉痛が持続することもあり、慢性疲労症候群と診断されることもあります。

Q熱の原因

原因はリケッチアに分類されるCoxiella burnettiの感染です。この病原菌は小型の多形性球桿菌で、グラム陰性菌の細胞壁をもちます。真のリケッチアとは異なり、マクロファージによる貪食を受け受動的なメカニズムによって細胞に侵入します。C.burnetti感染は血管炎を引き起こさず、従って発疹が生じることもありません。この点で他のリケッチア症とは大きく異なります。
  
Q熱は菌体の吸入によって起こり、菌は肺胞マクロファージに貪食され、そのファゴソームで増殖します。好中球とマクロファージの動員により局所性気管支肺炎を発症します。活性化されていないマクロファージを含む食細胞はC.burnettiを殺傷できないため、菌は単球・マクロファージを介して全身に広がることになります。

Q熱の治療法

海外では家畜の出産シーズンに感染が流行する傾向にあり、出産時の動物(特に死産、流産した動物)の接触に十分注意する必要があります。死産した動物は焼却処分し、汚染した環境は消毒液により殺菌します。ワクチンが存在しますが、我が国では使用されていません。
  
感染が分かった場合、テトラサイクリン系の抗生物質が第一選択となります。
  
慢性化した場合など重症化しやすいので、はやめに治療することが大切となります。
発症から3日以内に適切な抗生物質を2~3週間続けて使用する必要があります。