発疹熱の症状

発疹熱は、発疹チフス群リケッチアの発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)に感染して、6~18日間(平均10日間)の潜伏期を経て発症します。
代表的な症状としては
・高熱
・関節痛
・頭痛
などといった症状が現れます。

上記の症状が見られた後、4日程で体幹に発疹が出はじめ、順に顔面を除いた全身へと広がっていきます。発疹は最初のころは淡紅色ですが次第に暗赤色へと変化していきます。発症から2週間程度で熱が下がっていきますが体内にリッチケアが潜伏している場合は再発がみられます。日本では1957年以降発生していませんがアフリカ、メキシコ、南米のアンデス地方など高地を中心に流行が起こることがあります。

発疹熱の原因

発疹熱は、発疹チフス群リケッチアの発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)に感染して発症します。熱性かつ発疹性の感染症です。
リッチケアを保有するクマネズミやドブネズミといった齧歯類に付くネズミノミが感染源となります。ネズミノミから排出されたリッチケアを含む糞が乾燥して粉状になったものが空気中に混在しているといった環境などで感染が起きます。
また、人間の掻き傷など傷口から侵入することでリッチケアに感染します。ヒトからヒトへの感染はありません。同じリッチケアが原因となる発疹チフスと症状は似ています。発疹チフスに比べて発疹熱は比較的軽症ですが、個人によっては重症化することや死亡例もあり両者を区別することは難しいといわれています。

発疹熱の治療法

発疹熱はあくまでもネズミノミやネズミ本体との接触や糞からの感染のみで人から人へリッチケアが感染することはありません。このため発疹熱を予防するには原因となるネズミおよびネズミノミを駆除することが最も有効であるといわれています。

またクマネズミやドブネズミが生息しリッチケアの感染の可能性がある国や地域に渡航する場合はネズミやネズミノミとの接触を避けることが大切です。もし発疹熱が発症してしまった場合は、テトラサイクリン系の抗菌薬が最も有効とされています。ついで、クロラムフェニコールや、ニューキノロン系抗菌薬も有効であるとされています。

効果的なワクチンは現在のところありません。

海外滞在中や帰国後に発熱、頭痛、そして発疹を伴った場合、本症を念頭に医療機関を受診するようにしてください。