旋毛虫症の症状

旋毛虫症の症状は自覚できないものから重症的なものまで多岐に渡りますが、最悪の場合は死にいたる可能性のある感染症です。また、感染した旋毛虫が成長するにつれて、全三段階にわけて症状が悪化していきます。
感染してからの二週間は、基本的な症状は旋毛虫が小腸粘膜に侵入して幼虫が産出される時期で、主に下痢や腹痛が発症する時期となります。
感染から二から六週間は幼虫が全身の筋肉へと移行する時期となり、筋肉痛や発熱、稀に呼吸困難などを発症します。
そして、感染後六週間以降になると、幼虫は全身の筋肉中で成虫する期間となります。この時期になると、主に眼瞼浮腫や全身浮腫、貧血、肺炎、心不全を発症するようになり、最悪の場合は死亡する可能性があります。

旋毛虫症の原因

旋毛虫症の発症原因である旋毛虫は、世界各地に分布している古典的病原体の一種です。地球上に生息するほぼ全ての肉食・雑食動物を宿主として生存しますが、基本的には豚、猪、馬、鹿、熊などに寄生します。そのため、東欧や中央アジアでは馬肉や鹿肉が、米国では加熱不十分な豚肉のソーセージが感染源となっています。
日本国内で発生する感染例の多くは豚や猪、熊の三種類の肉を食べたことが原因となっており、特に熊肉による感染例が多数を占めています。
ただし、感染した肉を食べること自体が旋毛虫症の感染・発症に繋がるわけではなく、寄生された動物の生肉、あるいは加熱処置が十分に行なわれなかった加工肉を食べることで、発症にいたります。

旋毛虫症の治療法

日本国内における旋毛虫症の発症原因が旋毛虫に感染した熊肉を食べることにある以上、予防法としては熊肉を食べることを極力控えることが重要となります。ただし、旋毛虫が寄生している動物の肉を食べたからといって必ずしも感染・発症するとは限らず、十分な加熱処理が施されていれば、食べても問題はないとされています。
また、旋毛虫は低温環境に対する強い適応力があります。事実、旋毛虫はマイナス三十度という環境でもおよそ四ヶ月程度は生存することができます。無論、冷凍保存下にある旋毛虫全てが生存していられるわけではなく、多数の固体は死滅します。