肝がん/肝細胞がんの症状

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるほど症状が乏しく、肝がん/肝細胞がんの初期では自覚症状が見られません。進行している場合でも無症状のことがあり、定期検診や精密検査で発見されることも少なくありません。症状が出た場合には、腹部のしこりや圧迫感、痛み、張りなどを感じることがあります。また稀ですが、腫瘍が破裂すると腹部に激しい痛みや血圧低下を生じます。
   
その他の症状としては、腫瘍が大きくなるに従い肝機能が低下し、食欲不振、微熱、腹部の張り、便通異常、黄疸、尿の濃染、貧血、浮腫、皮下出血など症状が見られるようになります。また、肝硬変になると肝臓に血液を運ぶための流れが悪くなり、食道や胃などの静脈が腫れて食道・胃静脈瘤ができることもあります。

肝がん/肝細胞がんの原因

肝がんの多くは肝細胞がんといわれるもので、その誘因となるものは、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変です。特にC型肝炎が日本では多く、慢性肝炎から肝硬変へと徐々に進行し、肝硬変になると非常に肝細胞がんが発生しやすくなります。
  
それ以外ではアルコールの過剰摂取や生活習慣などの背景因子があり、女性より男性に多く発症します。そのため、アルコール摂取が多い男性は特に注意が必要です。

肝がん/肝細胞がんの治療法

肝がん/肝細胞がんを予防するためには、B型・C型肝炎に感染しないようにすることが重要です。

B型肝炎にはワクチンがあり、摂取することも可能です。肝炎ウイルスは、血液から感染するためカミソリなどの共有は避けてください。またC型肝炎ウイルスの性行為による感染はまれですがB型では多いため、不特定多数の相手との性行為は避けた方がよいでしょう。普段の生活では人から人へ感染することはほぼなく、タオルや食器の共有は問題ありません。

また、アルコールの大量摂取はせず、普段から栄養が整った食事や適度な運動を心がけ、生活習慣病を予防することも必要です。

肝がん/肝細胞がんの治療は、まず腫瘍の数が少なく切除可能であれば手術ということになります。
肝機能が悪く、切除が難しい場合には肝移植が検討される場合もあります。
手術が難しい場合には、お腹から肝臓のがんに針を刺してアルコールを注入する経皮的エタノール注入療法(PEIT)という治療や、針から高熱を発生させるラジオ波焼灼療法(RFA)という治療が行われます。
また、肝がん/肝細胞がんが多発している場合などには、血管内治療によりがんに栄養を運んでいる血管に選択的に抗がん剤を注入したり、栄養を運んでいる血管を塞ぐ治療も行われます。
さらに、最近は内服薬の抗がん剤も使用されます。