進行性筋ジストロフィー症の症状

進行性筋ジストロフィー症の症状は、それぞれの疾患によって異なります。
  
デュシェンヌ型では、3~4歳で下肢の近位部筋力低下で発症し転びやすい事で気付かれます。動揺性歩行(トレンデレンブルグ歩行)と呼ばれる特徴的な歩行を呈します。緩徐に体幹や上肢近位部に進行し、車椅子・臥床状態に至ります。呼吸筋障害、心筋の障害で出る為、呼吸器感染症の合併や呼吸困難、心不全をきたします。脳神経領域は障害されません。
  
肢帯型筋ジストロフィーでは、若年か成人発症で、デュシェンヌ型と類似の筋病理像を示します。心筋障害をきたすことがありますが、神経系や他の臓器に障害がありません。先天性筋ジストロフィーは、生下時弛緩性の四肢脱力や哺乳力・嚥下障害がみられます。
  
筋緊張症候群は、筋症状として握った手がすぐに開けない、眼をつぶるとすぐに開けられない等の症状に始まり、しだいに四肢遠位部の脱力、頑健下垂、嚥下障害をきたします。

進行性筋ジストロフィー症の原因

進行性筋ジストロフィー症の原因は、遺伝子異常であることが多く示されてきています。
 
デュシェンヌ型はX染色体短腕にあるジストロフィン遺伝子に変異(多くは欠失)がみられ、筋形質膜直下のジストロフィン蛋白が完全に欠損し、筋形質膜が破たんし筋が死滅(壊死)します。通常筋細胞が損傷されると筋修復が行われますが、再生能力が低下し筋力低下を呈します。
  
肢帯型筋ジストロフィーは多数の筋蛋白遺伝子異常が解明されています。先天性筋ジストロフィーは、ゴルジ体蛋白フクチンの欠損により、筋膜蛋白ジストログリカンの糖鎖形成障害が起こる事が原因とされています。
  
筋緊張症候群は、第19染色体長腕上にあるミオトニンキナーゼ遺伝子のCTGリピート数が異常に伸長している変異があります。

進行性筋ジストロフィー症の治療法

進行性筋ジストロフィー症の予防法・治療法として明確なものは示されていませんが、発症原因への対策がまず挙げられます。生殖細胞や胎児を放射線などの催奇形因子から避ける事などがあります。また、染色体突然変異は高齢出産などにより発生頻度が高まる事を考え妊娠時期を計画する事も一つです。
  
その他の予防として、早期発見と早期治療を行い障害の発症・進行状況に応じて治療・環境の調整などが出来るようにする事が挙げられます。
現在では、胎児の段階で先天性異常の可能性があるか診断する出生前診断や遺伝子マーカーテストなどもあります。