腱鞘巨細胞腫の症状

腱鞘巨細胞腫は30~50代の成人女性に多くみられ、男女の比率は1:2ほどであるとされています。発生する部分で多いのは、手の指です。

腫瘤はゆっくりと大きくなり、大きさが3cmを超えることはあまりありません。数年にわたって、大きさが変わらない場合もあります。痛みを感じない人が多く、腫瘤ができた場所によっては指などの運動障害が生じます。

腫瘤は弾性硬タイプで、中身が詰まった充実型です。エックス線検査で腫瘤を確認することができますが、より詳しい検査はMRIを使います。最終的には、顕微鏡による腫瘍組織検査によって確実な診断がくだされます。

腱鞘巨細胞腫の原因

腱鞘巨細胞腫の腫瘍細胞には染色体異常が見られますが、腫瘤ができる原因は解明されていません。

腫瘤の治療は、手術による完全摘除です。腱鞘巨細胞腫は他の組織と境界線がはっきりしていますが、腱鞘と接して場合は腱鞘に強く付着しています。腱鞘とはトンネル状になった細長い鞘状の部分で、中には腱があり体液でみたされており、関節を曲げる役割を担っています。

腱鞘巨細胞腫が大きくなると、関節の運動障害、骨や靭帯の破壊が起きる場合もあります。腫瘤によっては、手術ですべてを取り除くことが難しくなります。いずれにせよ、腱鞘巨細胞腫が大きくならないうちに手術を行うことが安心です。

腱鞘巨細胞腫の治療法

腱鞘巨細胞腫はまわりに広がりやすいため、手術で切除したとしても再発しやすい腫瘍です。また、完全に腫瘍が取り切れておらず、少しでも細胞が残っていた場合は再発します。局部の再発率は10~20%です。

腫瘤が大きくなればなるほど、手術での完全摘除は難しくなります。再発を防ぐためには、腱鞘巨細胞腫が小さいうちに手術を行うことが大切です。気になるしこりが見つかったら、すぐに医師の診断を受けることでスムーズな治療につながります。