神経梅毒の症状

梅毒の第一期の症状としては、性器や唇などの感染部に痛みを伴わない小さなしこりができるのが特徴です。第二期になると、リンパ節に侵入した病原菌が血液を介して全身に広がり、全身に皮膚疹が見られるようになる他、脱毛症状が現れることもあります。
放置すると、数年から数十年経過して生じるさまざまな神経症状が起こることがあり、これを神経梅毒と呼ぶこともあります。
頭痛、発熱など急性ウイルス性髄膜炎と同様の症状を示したり、水頭症を合併することがあります。
脳梗塞様症状がでたり、進行麻痺が起こったり、脊髄癆 とよばれる、四肢や体幹の電撃痛、進行性の歩行失調、感覚障害、排尿障害などが起こり、日常生活に支障をきたすようになります。
  

神経梅毒の原因

神経梅毒は、直径0.1~0.2μm、長さ6~20μmのトレポネーマ・パリズムが感染し、直接神経系に侵入することにより症状を現します。トレポネーマ・パリズムは低酸素状態でのみ長期間の生存が可能であるため、主な感染の経路は、粘膜と粘膜が接触する性交を介したものです。
   
その他に、割合は少ないですが口などの粘膜から感染する場合もある他、妊婦が感染している場合は、胎盤を経由して胎児に感染するリスクがあります。血液のスクリーニング技術が進歩し、トレポネーマ・パリズムに汚染された血液の選別の精度が向上したため、輸血による血液を介した感染は激減しました。

神経梅毒の治療法

梅毒は性交の際に感染することが多いため、性交の際にコンドームを用いること、不特定多数との性行為を自粛することで予防できます。また、パートナーとともに梅毒検査を行い、感染している場合は早めに抗生物質で治療することも重要です。
  
血中の梅毒菌を検出することは難しいため、梅毒の検査には、血清を用いた脂質抗原試験やトレポネーマ抗原試験を行います。また、感染の初期の段階では、抗生物質による治療が可能なため、早期発見・早期治療が、重症化の予防に大切です。