肺化膿症/肺膿瘍の症状

肺化膿症の症状は肺炎と同様に、高熱、咳、黄色痰、胸の痛みが中心となりますが、全身倦怠、食欲低下などを感じることもあります。胸の痛みは炎症が胸膜へ広がっていることを示唆しており、レントゲンやCT検査などを行い診断されます。

急性期には、高熱、痰、悪寒、呼吸困難、チアノーゼ、胸痛などが現れ、喀痰・喀血を伴うこともあり、喀痰は粘液膿性あるいは膿性で悪臭のあることが多いです。原因となる細菌の種類により症状の発現スピードが異なります。黄色ブドウ球菌やグラム陰性桿菌などに起因する場合は症状が比較的早く現れますが、嫌気性菌に起因する場合は緩やかに現れることが多くなります。

肺化膿症/肺膿瘍の原因

肺化膿症は、肺が細菌感染して化膿することが原因と考えられ、膿が溜まったり組織が壊死したりして空洞を作る疾患です。主な原因菌は、嫌気性菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クレブシエラ属、大腸菌などで、空洞化する結核菌との識別が必要となります。

これらの病原菌が口の中へ侵入し、気管支炎、肺炎そして肺膿瘍へと進展することで発症します。嫌気性菌は口腔内に常在する菌であり、誤嚥により容易に気道から侵入するため、誤嚥を繰り返す人は注意が必要です。肺以外の部位に発生した膿瘍が血流により肺に到達して感染する場合や、尿路、胆道系の感染や皮膚あるいは心内膜炎などの感染から血液を介して肺に到達することもあります。

肺化膿症/肺膿瘍の治療法

肺化膿症は、糖尿病、アルコールの大量摂取、歯周病、胃・食道の手術後、誤嚥を繰り返す、免疫力が低下している人などに起こりやすいと言われています。そのため、それら条件に当てはまる人は、普段の生活を見直し、健康的な生活習慣を身につける必要があります。

また、口腔ケアや虫歯の治療なども重要になるため、早めに完治することが大切です。高齢者の場合、症状の現れ方がゆるやかな上、不定の症状だけしか見られないことがあるため留意しなければなりません。

治療は起因菌に応じた抗生物質の投与を長期間行います。抗生物質の投与をしても軽快しない場合は、外科的処置で膿瘍をドレナージしたり、切除が必要となるケースもあります。