ウェルナー症候群とは
ウェルナー症候群は、思春期以降において老化現象が通常より早く起こってしまう「早老症」の一種で常染色体遺伝による疾患です。また、悪性腫瘍を併発しやすくなることも特徴の一つです。日本での発症例は100万人に1?3人程度ですが、全世界の症例報告のうちの8割を日本人が占めています。
ウェルナー症候群の症状
ウェルナー症候群の症状には、生理的な老化現象と似たものが多く見られます。代表的なものでは、白髪化や脱毛、声のしわがれ、動脈硬化、白内障の発症などを挙げることができます。また、低身長や四肢の細さといった体型的な特徴もあります。そのほか、性機能不全や無精子症、不妊症、糖尿病のような内分泌学的症状が見られたり、強皮症に似た皮膚の硬化も起きます。皮膚真皮のコラーゲンは線維化や硝子化がみられ、皮下脂肪や表皮にも萎縮があります。足には角質の増加が起き、うおのめができやすくなります。
ただし、必ずしも全身の老化が見られるというわけではなく、人によっては妊娠・出産が可能なこともあります。
ウェルナー症候群の原因
ウェルナー症候群の原因は常染色体の異常です。劣性遺伝疾患であり、8番目の染色体に起きた遺伝子の突然変異を、両親ともから受け継いでしまった場合に発生すると考えられます。本来、この遺伝子はDNAヘリカーゼという酵素をつくっています。DNAヘリカーゼは、誤って組み替えられた遺伝情報をほどき、DNAを傷から守る働きをします。ところが突然変異によってこのDNAヘリカーゼが正常に機能しなくなると、誤ったDNAの結合は修復されることなく蓄積していってしまいます。このダメージが急速な老化をもたらすのだと考えられます。
日本人に発症例が多いのは、海外と比較して他の人種の出入りが少なく、歴史的に近親婚の文化があったためだという説があります。
ウェルナー症候群の治療法
ウェルナー症候群の根本的治療法はまだ確立されていません。現状では、合併症に対する対症療法や生活面などでの対応を徹底することによって、少しでも寿命を伸ばすという方法しかとることはできません。ウェルナー症候群と診断された場合の平均寿命は、46歳です。ウェルナー症候群における直接の死因は、悪性腫瘍や動脈硬化などです。これらの治療をいかに進めるかによって、ウェルナー症候群の患者の予後は変わってきます。
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