唾液腺炎の症状

急性の唾液腺炎では、左右にある耳下腺が腫れて痛み、耳下腺を押すと唾液腺管から膿が出たり発熱したりすることもあります。慢性の場合は、唾液腺が硬くなり唾液の分泌障害が起き、口腔内が激しく乾燥するため咀嚼や会話に障害が起こります。
  
小児にみられる特殊な病気である「唾液管末端拡張症」は唾液腺そのものに異常があり、急性耳下腺炎を反復します。ウイルス性唾液腺炎として最も知られているのは「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)」です。子どもに多い疾患で、一度かかると免疫ができるので再発しません。しかし、成人になってから罹患すると、睾丸炎、卵巣炎、不妊になる可能性があるため注意が必要です。

唾液腺炎の原因

唾液腺炎はさまざまな原因で唾液腺に炎症が起こり、唾液腺を塞ぐ唾石や唾液の分泌低下などが見られますが、明らかな原因がなく発症することもあります。原因によって「ウイルス性」「細菌性」「自己免疫性」に分類されます。
  
ウイルス性で一番多い「おたふく風邪」は、ムンプスウイルスに感染することで発症し、潜伏期間は2~3週間です。しかし、それ以外のウイルスでも感染することが分かっています。細菌性は唾液の分泌が少ない時に発症しやすく、もともと口の中に常在する菌が唾液腺に侵入することで発症します。自己免疫性では、シェーグレン症候群が知られていますが、原因は分かっていません。

唾液腺炎の治療法

ウイルス性唾液腺炎である「おたふく風邪」は、定期予防接種に含まれていませんが、効果に優れているため集団生活に入る前にムンプスワクチンの摂取を受けるといいです。
  
通常おたふく風邪の好発年齢は2~5歳ですが、子どものときにおたふく風邪にかからなかった人は大人になってから発病することがあるので注意です。しかし、大人のおたふく風邪は病状が重く髄膜炎や髄膜脳炎などの合併症を引き起こしたり、難聴になったりすることがあります。そのため、大人でもムンプスワクチンの摂取を受けることが勧められます。