脊椎損傷の症状

脊椎損傷の症状は完全損傷と不完全損傷の2種類に分けられます。完全損傷の場合は脊髄の神経伝達機能が完全に絶たれた状態のことで、不完全損傷の場合は脊髄の一部が損傷もしくは圧迫を受け、一部機能が残る状態のことを言います。
  
症状の起こり方も部位によって分かれており、上位頚椎損傷では頸部痛、後頭部痛、重症化すると四肢麻痺が生じます。中下位頚椎損傷では頸部痛、上肢の疼痛、しびれ、筋力低下が見られ、重症化するとこちらも四肢麻痺を生じます。
  
胸、腰椎の脱臼または骨折の場合は腰背部痛、両下肢の知覚麻痺、運動麻痺、排尿・排便障害を生じ、骨粗鬆症を患っている高齢者の場合はしばらく経ってから麻痺症状が現れる場合もあるので注意が必要です。

脊椎損傷の原因

脊椎損傷の原因として交通事故、高所からの転落、転倒、打撲、下敷き、スポーツ、自殺企図などが挙げられます。
  
スポーツに関してはプールや海などへの飛び込みの他、スキー、ラグビー、格闘技、野球、体操など様々で、特に若い世代に多いと見られています。中でも水泳の飛び込みは脊椎骨折の確率が高くなっており、完全麻痺になる可能性が高いとされています。
  
また、脊髄の炎症や腫瘍、血管の異常、血行の異常、脊髄変性疾患、脊椎変性疾患、中毒症などで生じる先天性の原因の場合もあります。他に、骨粗鬆症を伴う高齢者では、転倒による軽微な外傷でも簡単に脊椎損傷を生じることがあるため注意が必要です。小児の場合は大部分が上位頚椎損傷とされています。

脊椎損傷の治療法

脊椎損傷の治療方法は主に装具を用いた固定と手術、絶対安静です。脊髄損傷を合併している場合は呼吸麻痺を防ぐために気管内挿管や気管切開などをする場合があります。
  
いずれにしても手術による回復の可能性はほとんどないため、早期のリハビリテーションが必要です。これは長く安静を保つことによって筋力が低下し、復帰に時間がかかるためです。失われた機能を回復するのではなく、残された機能を使っていかに日常生活を送れるようにするかという点に重きを置いてリハビリテーションをします。
  
また合併症においてはそれぞれに対処療法を施します。