眼窩底骨折の症状

眼窩底骨折の症状としては、目の周りの痛み・腫れや青紫色のあざ、複視、頬や上唇のしびれ、皮下気腫、鼻出血、眼球陥没などが挙げれられます。
  
ごくまれですが、出血により視神経を圧迫した場合、視力が損なわれることもあります。

しかし、眼窩底骨折の大半は眼球自体への損傷が比較的少なく、眼窩底骨折が直接視力への低下につながるという訳ではありません。
  
複視などの眼球運動機能の異常が認められた場合、小児では特に早めの手術が必要となるので注意が必要です。

眼窩底骨折の原因

眼窩底骨折の原因は眼球部の前方からの鈍的外傷です。

硬い物で眼球が強い力で押された際に、眼球は逃げ場がなくなり、眼窩の内圧が上昇します。

すると眼窩の下や内側の壁は骨がきわめて薄いため、圧力の上昇に耐えられなくなり骨折が起こります。

眼窩の下側の壁が骨折すると、目を動かす筋肉が骨折部に挟まれたりして、眼球をうまく動かせなり複視が起こることがあります。

実際の受傷の原因としては、よく見られるのが、スポーツ(球技でボールが目に直撃、ボクシングや空手などで拳が目に当たったなど)、交通事故、転倒、喧嘩などによるものです。交通事故や喧嘩では眼窩底だけでなく、周囲の他の骨にも骨折が見られることが多いです。

眼窩底骨折の治療法

眼窩底骨折の程度が軽い場合には、経過観察で治癒が期待できます。

一方、骨のずれがひどい場合や眼窩内容物が上顎洞内に脱出し複視などの症状があるなどの場合には、骨折した部分の整復手術が必要となることがあります。骨の損傷具合が軽度の場合は、骨を整復して眼窩内容物が下に落ちないように固定します。骨の損傷具合が重度の場合はチタン製やシリコン素材などで作られた補正用プレートを眼窩内に入れ、眼球を支える土台を作る必要があります。場合によっては骨移植をして骨を結合し、補助的に治癒を助けます。
  
また上顎洞バルーンという風船のような素材を鼻腔内に2-3週間入れて、眼球を支えることもあります。鼻出血がある場合には鼻をかむことを極力避け、スプレー式点鼻薬を使用します。