挫滅症候群の症状

挫滅症候群の初期症状は、血流障害による運動・知覚麻痺が局所に見られます。壊死した筋組織からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが大量に血液中に漏れ出し、圧迫されていた筋組織が腫脹し広範囲に点状出血が現れます。意識混濁、チアノーゼ、失禁などの症状が見られることもあります。
  
大量のカリウムが流れ出ると高カリウム血症を生じ、心室細動、心停止が起こることもあるため注意が必要です。筋肉を構成しているミオグロビンが大量に分離して尿細管を詰まらせると急性腎不全を生じることもあります。
  
いずれの場合も、圧迫された状態から解放された直後にはあまり症状が見られず、数時間から数日後に重篤化することが少なくありません。

挫滅症候群の原因

挫滅症候群は、事故や災害などで長時間にわたり手足や腹部などが圧迫されることにより筋組織が傷害や壊死を起こし発症します。戦災や自然災害に伴い倒壊した建物や家具などの下敷きになり発症するケースが多く見られ、日本国内では震災後の倒壊現場で多発することで知られています。
 
まれに交通事故などで救出が遅れ長時間にわたり圧迫状態が続いた場合や、長時間暴行され続けることなどでも挫滅症候群を引き起こすことがあります。

挫滅症候群の治療法

挫滅症候群は突発的な事故や災害時に起こるため事故を予防するのは困難ですが、より早い救出が挫滅症候群を防ぐことにつながります。しかし、長時間にわたり圧迫が続いている場合には、無理に救出することが得策とは限りません。まずは救急隊員や医師の手配をし、専門家の指示に従い救出に移ります。
挫滅症候群では救命が難しいことも多く、  軽度の圧迫で救出が可能だった場合も、病院への搬送時に圧迫に関する情報を伝えることが重要で、その情報が適切な処置につながります。