症状

網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)は、目に打撲などの衝撃が与えられた場合に起こる病状です。「振盪」とは、揺れるということで、脳振盪(のうしんとう)という言葉は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
目を打った・何かが目に当たったという状況で眼科を受診して、眼底検査という目の奥の精密検査をして、眼科医から「網膜振盪があります」と告げられることになります。
所見としては、眼底検査で目の奥をのぞくと、網膜の一部が乳白色に混濁しており、微量な出血を伴う場合もあります。

網膜は普段使っていない部分も多いので、網膜振盪症が起こる部位によっては、自覚症状がほとんどない場合が多いですが、網膜の中心に近い部位に網膜振盪が生じた場合は、ぼやけたり、かすんで見えることがあります。一部の視野の欠損が起こることもあります。

外見上は顔面の傷や出血がなくても、網膜振盪症は起こっていることがあります。

原因

目の玉の中には、網膜という神経の膜が張り巡らされています。ここが光を受け取って脳に伝える役割をしています。ここが衝撃を受けたとき、網膜の組織が白く変色するのが網膜振盪症です。

網膜振盪症の原因は、眼の周辺に外的な衝撃が与えられることによるものです。原因として、エアーガンの弾やゴルフ、テニス、野球、バレーボール、サッカーなどのボールが当たることにより引き起こされることも多いので、スポーツ時の目の保護を気にかけることも重要です。人の手や肘、肩が当たることで起こることもあります。

治療法

通常は治療を必要とせず数週間程度で治癒し、後遺症が残らない場合がほとんどですが、白色化した網膜が薄くなって物理的に弱くなり、裂け目を生じることがあり、その場合網膜が剥がれてこないように、レーザー治療などが行われることもあります。
また、網膜振盪症を生じるほどの力が目玉にかかった場合、その他の眼球周辺の病気が併発することがあります。瞼や眼球周辺の骨の損傷、角膜(黒目)や強膜(白目)の切り傷、外傷性虹彩炎や虹彩離断・前房出血、黄斑円孔、脈絡膜出血などです。

これらには点眼や内服の治療、時には手術が必要になることもありますので、眼科で指示されたとおりに受診を続けることが重要です。日常生活は普段どおり行うことができますが、スポーツや重いものを持つ動作が可能かどうかは、眼科医にご確認ください。コンタクトレンズの使用については、眼に圧迫をかけることが望ましくない場合は中止するよう指示されることもあります。

眼に力がかかった場合には、早めに眼科受診をお勧めします。