外傷性脳内血腫とは
外傷性脳内血腫は怪我が原因で脳内に出血して、血腫ができたものです。血腫は高血圧が原因で出血することもあるため、それと区別するために外傷性脳内血腫と呼びます。怪我を負った直後に血腫ができて症状が現れることがほとんどですが、高齢者では遅れて血腫が大きくなったりして意識障害に陥るまで悪化することもあるため早期発見が大切です。
症状
外傷性脳内血腫は血腫による圧迫と脳挫傷によって頭蓋骨の内圧が高まり、激しい頭痛や嘔吐、めまいなどの症状を引き起こし意識障害が認められることもあります。受傷直後にこうした症状が出ることがほとんどですが、血腫が増大するまで症状が出ないこともあります。CTで検査を行い発見することがほとんどで出血部分は白く、脳浮腫部分は黒く映ります。しかし軽い場合、つまり小さい血腫の場合映りにくいのでMRIを使うこともあります。
血腫を伴わない場合は脳圧降下薬の点滴で済みますが、血腫を伴う場合は手術をして取り除くこともあります。治療後の経過は入院の時点での意識障害の程度によって異なり、治癒しても後遺症が残ってしまうケースもあります。
原因
外傷性脳内血腫の原因は、多くの場合交通事故などの頭部外傷によって脳の内部が挫傷し、血液が溜まることにより生じます。また、出血のリスクが高まる抗凝固薬を服用している場合や高齢者の場合は、軽い怪我などでも血腫のリスクが高まります。医療技術が発展してきたため、発見の遅れは少なくなってきましたが脳損傷からの回復は難しいため、死亡率は高くなっています。
血腫が数個の場合は嘔吐やめまいの症状がでますが、外傷がひどい場合など血腫が多いと脳ヘルニアを引き起こし脳幹が侵されることで、呼吸障害をまねき、死亡することもあります。
また、血腫が少ない場合でも嘔吐やめまい以外に脳の損傷部位によっては体の麻痺や発話、言語能力に障害が出ることもあります。
治療法
外傷を受けると挫傷により、脳浮腫が形成され、これが脳挫傷をさらに悪化させます。このため、脳圧降下剤などを用いて脳浮腫を軽減させるようにしますが、それでも悪化するようであれば開頭減圧術、血腫除去術などの外科的な治療が行われます。患者さんの容態によってはなるべく小さく開頭し血腫洗浄を行うこともあります。血腫が少量の場合は手術効果が高くないため、重症でも薬物治療が行われることがあります。
また治療後も新たな血腫が出現したり増大することもあり、治療した部分の脳損傷が脳浮腫や出血などの二次性脳損傷を起こすこともあります。そのため、予防としてCTなどによる厳重な観察を継続することが大切です。
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