尿道下裂の症状

尿道下裂は尿の出口が陰茎の先端まで届かずその手前で出口が開いてしまう病気です。
  
軽度の場合は立位による排尿が困難になることと陰茎の腹側屈曲による性交障害が問題となりますが、その他に過剰な包皮のたるみや乳幼児期での亀頭の露出がみられることがあります。高度の場合は、陰茎の付け根や陰嚢に尿道が開口し陰茎は著しく屈曲した形を呈します。
  
立った状態で排尿すると下向きに尿がでてしまうため、男子トイレでの排尿が困難となり、成人期まで放置されると陰茎の屈曲から性交が困難となることが主な問題点ですが、精神的な面でもコンプレックスを抱えてしまうことがあります。また、停留精巣が合併することもあります。

尿道下裂の原因

原因はよく分かっていませんが、男性化ホルモンであるテストステロンの作用不足が考えられています。男性性器の発育分化には胎児期の性ホルモンが重要な役割を担っているので、性ホルモンの分泌や作用に異常があるだろうというものです。
  
環境ホルモンの影響も考えられていますが現在証明はされていません。父親や兄弟に尿道下裂がある場合は発生頻度が高くなることがしられていますが、単一遺伝子の異常が原因であるとは考えられていません。
  
高度の尿道下裂は性分化疾患に伴って起こる場合が多く、性別確認のために染色体検査が必要になることがあります。また、尿道下裂では停留精巣や染色体異常、内性器異常を伴いやすいことも知られています。

尿道下裂の治療法

尿道下裂の治療は尿道下裂形成術と尿道形成術という手術によって行います。手術は安全に全身麻酔をかけることができ本人が陰茎について意識する前の生後6か月~1歳6か月の間に行うのが良いと考えられていますが、成人後に手術が行われる場合もあります。
  
手術の目的は美容上や性交時の問題解消のため陰茎をまっすぐにするということと、排尿の問題を解消するために尿道口を陰茎の先端までもってくるということです。
  
手術はルーペを用いた慎重で細かい作業を要するので2~5時間程度の時間がかかるのが一般的です。陰茎が小さい場合は、事前に男性ホルモンを投与することで手術しやすくするといった処置がとられます。また、手術後はすべて亀頭が露出した状態になります。