- 相談者34歳/女性
- 機能性胃腸症と慢性胃炎と過敏性腸症候群の違いを教えてください。
- 医師からの回答
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ご相談ありがとうございます。
機能性とは、器質的(体の構造がおかしい)な異常がないということです。胃腸の粘膜の状態をカメラで確認したり、構造をCTなどで確認しても正常なのに、便通異常や腹痛があり、機能には異常があると思われる、ということです。機能は構造に比べて検査がしにくく、数値化もしにくいので、機能の異常は見つけにくいのです。はっきりした病名というよりは、「一通りの検査はしたけど異常は見つからなかった」という場合に使われることが多い言葉です。
慢性胃炎は、胃に刺激が繰り返し加わることで慢性的に炎症を起こした状態です。飲酒、喫煙、ヘリコバクターピロリ菌の感染などの関与が大きいと言われています。胃の痛み、胸焼け、吐き気などがあることが多いです。胃カメラや胃透視で粘膜を観察することで診断されます。器質的疾患です。
過敏性腸症候群は大腸・小腸の運動や分泌が異常になることで下痢や便秘、腹痛などが起こる機能性疾患です。
ご参考まで。
- 相談者34歳/女性
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自分は病院でありとあらゆる検査をした結果異常がなく、それなのに何年という単位で吐き気と下痢に悩まされています。となるとこれは機能性胃腸症となるのでしょうか?機能性胃腸症というのは正式な病名ですか?
というのもこの症状のせいで仕事に支障が出ています。が、病名という形で何かしらの病気(症状がある)という事を未だに担当医師から診断をいただけていません。会社に説明するためにもいっそこういう病気だと診断してもらった方が良いとさえ思います。医師に対し、診断書を出してもらったりすれば病名がつくのでしょうか?
- 医師からの回答
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正式な病名というのが何を指すのかという問題がありますが、厚生労働省が定めている標準病名(保険請求に使われる病名リスト)には機能性胃腸炎というのはありません。相談者様が検査をされるにあたり、担当医は何か別の病名をつけて、「慢性胃炎の疑い」などとして検査をし、その費用を健康保険団体に請求しているはずです。
ただ、保険病名が必ずしも正しいとも限りません。例えば手術を受ける患者さんには一律に血液検査をしますが、その際には別に貧血や感染症のおそれがなくても「貧血の疑い」「HIVの疑い」などと保険病名をつけないと検査ができません。この保険病名を見て、患者さんが「私は普通の人より貧血の恐れが高いということ!?」と勘違いされることがありますが、それは違うということです。
診断書を患者から求められたときに、必ず交付しなければならないと医師法で決められておりますので、担当医に「診断書をください」と言えば、必ずもらえます。
その際、診断書をどういうふうに使われるのか、どういう内容を求めているのか、はっきりおっしゃったほうがいいです。
同じ病状でも、会社を休みたがっている方と休みたくないと思っている方がいて、書き方に違いが出てくることもあります。
働くにしても、例えば「ストレスの少ない業務に振り返る必要がある」「短時間勤務への振替が望ましい」「夜勤の免除が望ましい」「定期的な受診が必要なので、通院ができるよう配慮が必要である」「長時間の運転は避けるべきである」などの一言があるかないかで会社側の扱いが違ってきたりします。
患者さんが何を書いて欲しがっているのか、何を書けば一番その人の生活に合っていて助けになるのかは医師には分からないことが多いです。症状がないのに病名をでっちあげたり、軽微な病状で「休職1年間が必要」などと書く事はできませんが、診断書の内容というのは絶対的なものではなく、医師はできるだけ患者さんの助けになるように書きたいと思っています。
単に病名が知りたいだけなら、診断書代を払わなくても、「私は病名をつけるとしたら何ですか?」と聞かれるだけでいいです。
- 相談者34歳/女性
- とても親身に詳しく教えていただいてありがとうございました。今度担当の医師にそのように伝えてみたいと思います。ありがとうございます!