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はじめまして 現在33歳 産後6か月です。 5年ほど前に 子宮内膜症 チョコレ...

医師への相談

相談者33歳/女性
はじめまして 現在33歳 産後6か月です。
5年ほど前に 子宮内膜症 チョコレート嚢腫で
検査し、腫瘍マーカーでの検査も異常ありませんでした。
子宮内膜もあり、頻繁に内診してもらっていたこともあり
ましたが2014年11月に妊娠、2015年8月に出産しました。
それから半年が経ち 子宮頸がん検診のため 婦人科で
検診を受けました。その際 卵巣に1㎝ほどの気になるものがあるといわれとても不安になっています。
しかし、先生は今すぐどうこうするものでもなく
半年 1年と経過をみて それが生理的現象のものなのか
大きくなるものなのかの判断なので今すぐ気にするものではない といわれました。 しかし卵巣ガンなどではと心配になっています。 子宮内膜症は妊娠 出産したら治ると以前言われていましたが、 それがまだあるのか 卵巣ガンなどではと心配です。ほんとに今すぐ検査しないといけないものではないのでしょうか。
十倉 陽子先生からの回答
ご相談ありがとうございます

まず 医療従事者 特に医師が
『きになるものがある』と表現したときのきにしなければならなさ具合は一般の会話でのきになる きにするに比べると意味合いとしては随分と違ったものになります。きになるので定期検診を受けた方がよいが、卵巣癌の可能性が高いのできになる、、、、ということではありません。

まず 日本人女性で卵巣癌の確率は0.03%、、、内膜症がある方では0.3−0.8%とされています。

超音波などで偶然みつかった卵巣の腫れ物をみているうちに徐々に大きくなってきて、壁が一部分厚くなったり、盛り上がったりしてきた場合卵巣癌の可能性が高くなりますので詳しい検査に入りますが、10cm以上、閉経後などは特に気をつけなければならないとされています。それとは違って、毎年のように超音波検査をうけていても1年以内にいきなり卵巣癌が発生することもあり、こちらは定期検診を受けていても予知できないタイプではあります。

今回は出産後に小さくなった内膜症が見えている可能性もありますし、断乳しかけていたり、断乳し月経が再開している場合には排卵前の卵胞を見ていたり、排卵後の黄体を見ている可能性があります。しかし1cmとなると卵巣癌の可能性は極めて低く、 MRIや超音波やマーカーなどでも卵巣癌なのかどうかさえ判定することも困難なサイズとなります。とはいっても切除してみなければ卵巣癌かどうか最終的には判断できず、子宮頸がんや体癌の検診と違って直接卵巣を刺して細胞を取ることはできませんので、定期的に超音波でみていくこととなります。その中でどんどんと大きくなってきたり、先ほど申し上げたように壁の一部がもりあがたったり、、といった疑わしい所見が出てくるようであれば急いで詳しい検査を受けていく必要があるとおあるとおもわれる状態です。主治医の先生としては10年診察をうけないで放置(されるような方も実際おられるので、、、、)したりせず、時々エコーでみたい(程度にきにすべき、、、、)とお伝えしたかったものと思われます。

とはいっても お子さんがいる中でお母さんは健康を大切にしていかなければなりませんので、人間ドックや卵巣のチェックはかかさずいかれてくださいね。半年先では不安ということであれば3ヶ月程度で一度みていただくのはどうでしょうか。


相談者33歳/女性
詳しい回答ありがとうございます。
内膜症である場合 卵巣ガンになる可能性が少し高くなるわけですが そのための予防となると切除とかもあるのでしょうか。 心配なので3ヶ月に一度は必ず検査を受けようと
思います。ただ、今の段階では、様子を見るしか方法がないということでしょうか。
十倉 陽子先生からの回答
なるほど

様子をみるしか方法がないわけではありませんが、、、1cmのチョコレート嚢腫かどうか確定できない方に対して手術を行った例を私自身はみたことがありません。

手術を行うことも一定のリスクがありますので、、、、(小さいものでは感染、大きいものでは腸に穴があいてしまって人工肛門になったり、術後癒着がおこってイレウスを繰り返したり、最悪血栓や術中死亡など)このような手術のリスクよりも卵巣癌である可能性が高くなり、予防的に切除を行った方がよいようなものに初めて手術を検討することになります。または悪性腫瘍の可能性がなくても不妊治療目的に手術されるかたもおられますが。

内膜症からの癌化は袋のように見えている部分からの癌化とそうではなくて腹膜に散らばっているものから発がんするタイプがあり(卵巣を切除したあとに癌化されるかたが極めて稀におられます。閉経頃の更年期障害に対してホルモン治療されていることがリスクとなると言われています)
、切除で完全に卵巣癌の発症の可能性を0にすることはできませんが、切除はかなり有効な手段となります。その他ピルを5−10年以上飲んで排卵をとめ、内膜症を抑え込むことも同様に有効とされています。現在授乳されていて月経がとまっているようならピルを飲んでいる状態と同じく排卵が止まっていますので、断乳されてからピルを開始することが手術のような大きなリスクなく、卵巣癌を有効に予防できる手立てとなると言えます。ただし次のお子さんをかんがえておられるようであればピルは飲むことができませんが。

また、内膜症の癌化について年齢が一つのリスクとなり40歳までであれば比較的低い癌化率なのですが、40歳を超えても残っている方(逆に申し上げると40歳までに消えてしまうことが多いということなのですが)40歳以上で見つかってきた方の癌化率や癌化するまでの期間が短いといわれているので40歳頃を一つの目安としてここを超えても内膜症性嚢胞がみえているようであれば積極的に手術を検討されるとよいと思います。9−10cmを越えると卵巣癌の可能性が高いといわれていますが何cm以上なら手術をすべきという目安は現在のところ明確にはなく、各施設ごとにだいたいの目安がありきめられています6cmとされているところが多いと思います。40歳をこえなくても6cmをこえるようなところまで発育がみられれば手術も検討されてはどうかと思います。
相談者33歳/女性
ご丁寧に分かりやすいメールをありがとうございました。
最後にもうひとつご質問があります。
子宮けいがんの検診は毎年必ず欠かさず受けています。
今年も1年が経とうとする時に 膿のようなおりものが
一度あり、元々頻尿なのですが更に頻尿になった気がして
ネットで調べると子宮けいがんの症状と出てきてほんとに不安になっています。 毎年必ず受けている状態でも
高度異形成を超えて子宮頸がんになっていることもあるのでしょうか。結果待ちではありますが 婦人科系のガンに
怯えてしまいます。因みに産後いま6か月ですが、授乳していますが 4か月半で生理が再開しました。
十倉 陽子先生からの回答
かなりしっかりと検診をうけておられるのですね。産後もお忙しくて大変な時期に素晴らしいことだと思います。

子宮頚癌の検診は毎年うけていらっしゃるということですので、急に癌が見つかることはないと思います。海外や日本の一部のクリニックではHPV(パピローマウイルス 子宮頚癌の原因となるうウイルス)を調べてHVPのハイリスクタイプがいなければ検診の期間を2年から3年にあけるところもあるくらいです。基本的には非常にゆっくり進行します。進行して検診で異形成(前癌病変0で見つかってもほとんどは元の状態に戻ってしまいます。

通われているクリニックに相談されてHPVのタイピングの検査をお受けになられると、どのくらい安心できるのか、あるいは、このままのペースで検診をうければ大丈夫そうなのかの目安が得られるかと思います。

お体の不安がたくさんでているようですが、一つ一つ検診や検査でご不安がきえてゆけばよいですね。

産後授乳をされている状態であると、妊娠前のように定期的に排卵や月経が起こらないこともあります。そのためホルモンが低く膣炎なども起こしやすくなる方が一部いらっしゃいます。おりもののを主訴として受診されたかたの99%は膣炎や性感染症であって、子宮頚癌はほとんどおられません。膣炎でおりものがでるのは鼻風邪を引いて鼻水がでるのと似ており、疲れていたり、ホルモンの状態、久々の性交渉などでしょっちゅうおこることではあります。初めてみるような膿がでたようであれば一度婦人科でおりもの、性感染症などのチェックもうけていただき、何事もなければ安心して過ごしていただきたいかと思います。

追加ですが授乳されていても月経が再開される方はたくさんおり、おかしなことではありませんので、そちらもご安心ください。ただし、授乳中の月経は周期が不安定になることはあります。
相談者33歳/女性
大変参考になりました。 ご丁寧なメールをありがとうございました。またご相談させていただくかと思いますが
よろしくお願い致します。 ありがとうございました!