1. トップ
  2. みんなのQ&A
  3. BUN.CRE.Pについて教えてください。 腎臓は治るものじゃないと聞くの...

BUN.CRE.Pについて教えてください。 腎臓は治るものじゃないと聞くの...

獣医師への相談

相談者37歳/女性
BUN.CRE.Pについて教えてください。

腎臓は治るものじゃないと聞くのですが、数値が改善することがあるのはどうしてでしょうか?
獣医師からの回答
ご質問ありがとうございます。高齢の猫ちゃんでは、腎臓病はよく見られる病気のひとつです。
順に書かせていただきますので、ご参考いただければ幸いです。


BUN(血液尿素窒素)
 血液中の尿素窒素を測定することで尿素の量がわかります。尿素とはタンパク質の残りカスのようなものです。アミノ酸がさらに分解されるとアンモニアが発生します。アンモニアは体にとって有害な物質なので肝臓で尿素にされ、腎臓から排泄します。そのためBUNは腎機能と関係しています。
 BUNは腎臓の機能が下がると上がりますが、タンパク質の摂取量(高たんぱく質のものを食べると上がる)、脱水の程度、肝機能により影響されます。血液検査でBUNが上昇してくるのは腎機能の75%以上が失われた状態です。


CRE(クレアチニン)
CREは筋肉運動のエネルギー源でアミノ酸の1種であるクレアチンが代謝されてできた物質です。腎臓から排出されるので、腎臓がうまく機能しないと、血液中のCRE濃度が高くなります。クレアチニンは筋肉の量に比例するので、大きい雄猫の方が数字が高くなりやすいです。血液検査でCREが上昇してくるのは腎機能の75%以上が失われた状態です

P(リン)
高リン血症は腎臓病の進行を早めることがわかっています。リンも腎臓から排出されるミネラルで、腎臓病が進行すると高リン血症になっていきます。

以上です。
特にBUN,CREは腎臓がしっかり働いているかの指標です。しかし、75%以上の腎臓が機能しなくならないと異常値は出ません。また、これらはあくまで指標の一つであり、正確な腎臓の機能を測定しているものでは、ないことに注意が必要です。例えば点滴により血液の量が増え、一時的に尿を産生が増えると、血中のBUN,CRE,Pは下がりますが、腎臓自体の機能が回復したわけではありません。
相談者37歳/女性
とても詳しく教えていただき、ありがとうございます。

何度か高めの数値が出ていて、その後徐々に下がったり、CREとPが下がってくる場合は、状態がいい、と解釈してもよいでしょうか?

回復とまではいかなくても、現状維持、あるいは負担をかけていない状態、などです。
獣医師からの回答
徐々に数値が下がったり、BUN,CRE,Pが下がっている場合は状態がいい方だと解釈されて良いと思います。
また尿検査は腎臓が機能して、尿を濃縮できているか?などを見る検査になります。検査の数値だけが一人歩きしないように、食欲や体調、脱水の程度などを見て判断する必要があります。

飼い主様がおっしゃるように腎臓病(特に猫の慢性腎不全)は治らない病気ではありますが、うまく付き合っていけたら良いですね。お大事にしてくださいね。
相談者37歳/女性
とてもよくわかり、安心できました。
ありがとうございます!