- 相談者31歳/女性
-
回答受付中
三角頭蓋や軽度三角頭蓋について。
三角頭蓋は額や生え際に縦線みたいな骨がでたり、こめかみに凹みがあったりすると思いますが、軽度三角頭蓋も同じでしょうか?どんな症状がでたりしますか?
-
医師からの回答
-
軽度三角頭蓋では、額の中央に縦になにか盛り上がりが見えたり、額の中央を左右になぞって骨の盛り上がりが触れたりします。
また、額が丸みを帯び、両側こめかみの凹みが認められることが多いです。
三角頭蓋と軽度三角頭蓋の違いは、額の変形の度合いで美容的な手術が必要かどうかです。
- 相談者31歳/女性
-
ありがとうございます。
三角頭蓋は手術が必要ですが、軽度三角頭蓋は美容的な問題で手術は必要ないということでしょうか?
軽度もみたかんじわかるものですか?
発達面では違いあったりしますか?
-
医師からの回答
-
14時から医師の勤務交代があり、以後別の医師から回答させていただきます。
子供の頭の形については、クルーゾン病・アペルト症候群といったごく一部の非常に珍しい病気(多発顔面奇形)について以外は、手術をするといったことは標準的には行われていないと思います。一部の医師は、頭の形が脳にまで影響を与えるから、脳の発達を促すために頭蓋骨の手術をしたほうが良いと言っていますが、頭蓋骨を切り離してつなぎなおすなどという大掛かりな手術は、明らかな問題がなければ行うことはできない(そのリスクを容認するほどの、明らかなメリットが証明されていない)と考えるのが一般的な考え方と思います。
専門とするのは小児脳外科か小児形成外科ということになりますが、これらの医師自体が少ないうえ、頭の形について積極的に治療していこうという考えを持っている医師は非常に少ないと思います。三角頭蓋があるのかないのか、軽度なのかどうか、どのような治療が必要なのか、それが本当にメリットがあることなのかを判断できる医師はごく少数と思います。
とあるサイトhttp://www.geocities.jp/kouaji03/pg88.htmlによると、軽度三角頭蓋でも手術をすることで知的な面が改善したという情報もあります。しかしだからといって、「全国の親御さん、お子さんは三角頭蓋ではありませんか?放置すると具体的にこういうことが起こります。治療のリスクは容認される程度です。この外来にどんどん連れてきてください。原因不明の知的遅れ・自閉症の方も、実は頭の形のせいだったのではないでしょうか?頭の形を変えれば改善するかもしれませんよ」というようなことを広く述べる段階ではないです。上記サイトは、どのような人がどのような根拠を参照して作成しているのかがはっきりせず、どの程度信頼していいのか判断ができませんでした。ある病院のサイトhttp://www.hosp.pref.okinawa.jp/nanbu/pdf/zugai.pdfを丸写しした写真・記載も見られ、引用元の情報も記載されていませんでした。
はっきりしたお答えでなく申し訳ございませんが、小児科医でも三角頭蓋という言葉すら知らない医師が多いと思います。今後データが集まれば、上記のように頭の形を変えていこうという流れができていくのかもしれませんが、少なくとも今現在はそこまでの状態はありません。
もし気になられるようであれば、順天堂大学脳神経外科、沖縄県立南部医療センターなど、有名な病院もあるようです。また、最近は「赤ちゃんの頭のかたち外来」などの専門外来がいくつかあります。赤ちゃんの頭の形をスキャンし、オーダーメイドのヘルメットを作り、それを常時はめることで頭の形を矯正するといった治療も行われています。こういった治療は健康保険の適応はなく自費診療となり、日本でも数か所しか行っている病院はありません。ヘルメットの費用は30~40万円程度です。一般的には、首が座ってから平均5か月程度、入浴時以外ずっとヘルメットを装着します。こういった施設にご相談されてみてもよいかと思います。繰り返しますが、一般の小児科には現時点ではこういった知識は期待しにくいと思います。たまたま詳しい医師もいるかもしれませんが。
- 相談者31歳/女性
-
ご丁寧にありがとうございます。
軽度三角頭蓋もでしたら10ヶ月の乳児でも発達遅延とかありますか?
生え際のところ少しぽこっとでています。
さわるとわかるぐらいです。もし三角頭蓋や軽度の場合であってももっとでてくるのですか?
-
医師からの回答
-
申し訳ございません、繰り返しになりますが、現在の一般的な医療レベルでは、頭の形が多少いびつであっても、でこぼこが気になっても、極端に頭が小さいというようなことがなければ、知的なレベルにまでは影響を与えないと考えるのが普通です。絶壁でも、一部盛り上がっていても、斜めになっていても、脳の容積が同じなら問題ないと考えるのが普通です。出産時に頭部にダメージを受けたから、脳も損傷したし、頭蓋骨も変形した、という場合はあると思いますが、その場合は脳の損傷が発達・知的遅れの原因であり、頭蓋骨の変形が原因とは考えません。また、胎児のときに脳の発達が遅れるような病気があることで、脳の周りの骨の形成が遅れ、小頭症となることがありますが、これも発達・知的遅れの原因は脳であって頭蓋骨ではありません。つまりこういたケースでは頭蓋骨の形だけ整えても遅れは解決しないわけです。
こういった常識を乗り越えて、「いや、頭蓋骨の形は脳にまで影響を与えると思う。だから赤ちゃんの頭蓋骨を切り開いてでも治療するメリットはあると思う」と考えて治療している医師もいるのですが、今のところごく一部です。
「この子は軽度三角頭蓋で、この程度なら知的な問題は出ないでしょう」「私の経験上、この程度でも知的な問題や発達の遅れが出た人がいました。その子は治療したらこうなりました。だから治療をおすすめします」というようなことを言えるのは、先ほどの回答に書かせていただいた特殊なごく一部の医師だけと思われます。
やはり、ご不安であれば、まずはお近くの小児科でご相談され、明らかに治療を要する程度のいびつさがあるか、顔面や全身に多発する奇形があるか、今の段階での発達に明らかな遅れがないかを確認し、お住まいの地域の近くでは、小児の脳外科や形成外科で相談できる病院がどちらになるかといった情報を聞いてみられてはいかがかと思います。