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今月初め、65歳の母親が膵臓がんステージ4で余命半年と宣告されました。 部位は...

医師への相談

相談者65才/女性
今月初め、65歳の母親が膵臓がんステージ4で余命半年と宣告されました。
部位は膵体、肝臓に転移しております。

免疫療法が理想でしたが膵臓がんにおいては治験結果が望ましくないようで、
現在、ゲムシタビンとナブパクリタキセルの投薬をおこなっています。

治療方針は「元気でいられる期間の最大化」です。
私自身、この目的に向けて生活のほぼ全てを癌の理解と治療法の探求に費やしています。

・質問事項
ガンM+F療法の効果と膵臓がんでの作用

親戚からガンM+F療法という治療のパンフレットをもらいました。
https://ganmf.jp/cancer/

ただ、HPもパンフレットも非常に営業的で統計的なデータなどもなく、
いい効果だけ謳う健康食品のようで怪しく思っています。

・メタプロール
VEGF阻害剤

・フコキサンテトラ
フコキサンチンによるアポトーシス誘導作用

簡潔に言えれば、上記かと理解していますが、
2020年12月現在において、それぞれの評価の通説はどうなっているのでしょうか?

効果がある、もしくは限定的、癌の種類によるなど。
医師からの回答
ご相談いただきましてありがとうございます。
お母様の治療方針につきまして、ご心配なさっていることとお察し致します。

膵臓癌の治療は、切除可能な場合には手術(そこに術前化学療法を組み合わせることがあります)、そうでない場合には化学療法などとあわせて、おなかや背中などの痛みのコントロールの治療(消炎鎮痛剤・麻薬、骨転移による痛みには放射線療法等)などを行います。
また、糖尿病を合併する場合には糖尿病の治療、膵頭部癌で胆管閉塞がある場合にはステント治療など、病状の進行によるだるさ・食欲低下などに対してはステロイド療法なども行うことがあります。

上記の治療は科学的根拠に基づき、治療のガイドラインとして確立されたものとなります。
(実際にどのような治療を選択するのかは、患者様のご病状によりますため、主治医の判断となります。)

今回記載いただいた「ガンM+F療法」というものは、(少なくとも我々が知る限りでは)こうした根拠が乏しく、ガイドラインにあるような一般的な治療法として確立されているものではないように思われます。

そのうえで、もしご希望でいらっしゃる場合には、ガンM+F療法を実施されている医師に直接お問い合わせされること、また、現在の主治医の先生にこのような治療を行うことが可能かどうか、ご相談されることをご検討下さい。

少しでも参考になりましたら幸いです。どうぞお大事になさってください。
相談者65才/女性
ご回答ありがとうございます。

ちなみに、主治医にケトン食をした方がいいと言われました。ネットで調べてみたのですが、糖質制限食とケトン食はどう違うのでしょうか?
どういう理由でケトン食は効果があるのでしょうか?
医師からの回答
ご相談頂きましてありがとうございます。

ご親族のご病気、大変お辛いことと存じます。
私はがん治療に携わっております医師です。
患者様から時折食事療法についてご質問を受けることもありました。
以下にご質問の回答を記載させて頂きます。

質問①《糖質制限食とケトン食の違いについて》
どちらも糖質を抑えた食事療法です。
糖質を抑え、エネルギー(カロリー)をタンパク質・脂質から摂ることになります。

・糖質制限食:糖質↓、タンパク質・脂質↑ 例:1日糖質量 130~80g
・ケトン食:低炭水化物・高脂肪の食事 例:発酵食品・中鎖脂肪酸油 1日糖質量60g~40g以下

質問②《ケトン食の効果について》
主治医の先生のご意向としては、がん細胞の勢いを少しでも抑えたい!
そのために日常生活でできることとして、糖質を抑えたケトン食を勧められたのかと思います。

がん細胞が元気でいるためには、糖(グルコース)を取り込んでエネルギーを産生する代謝経路が亢進していることことから、"えさ"となっている糖を制限した食事ががん患者さんの食生活に良いと報告されています。
ただし人間が生命活動を維持するためには、どうしてもエネルギーが必要なため、糖代謝以外の代謝経路でのエネルギー産生が必要となります。そこで注目されているのが、"ケトン体"です。
さらにケトン体は糖利用を抑制し、他の代謝を利用することで、がん細胞の増殖抑制に関与していることから、がん患者さんの食事に良いとされているようです。

ただしがん患者さんへの効果は、食事療法単独でなく、他の治療との併用での報告であることに注意してください。

また過度な食事療法も禁物です。

ご家族様が少しでもストレスなく、良い生活ができますこと、心よりお祈り申し上げます。
相談者65才/女性
ご丁寧にありがとうございました。