無汗症の症状

汗が出ない部位が限られている限局性無汗症の場合、汗が出ないという以外は症状がありません。広範囲に及ぶ全身性無汗症では、体温調節ができなくなり、夏場には体温が上昇やすく、冬場には低体温になりやすい、痛みや熱さ冷たさを感じにくくなるのが特徴です。
  
乳児期では、熱に伴う痙攣やてんかんが高頻度で見られ、急性脳症を発症する場合があります。また、歯が生える頃には舌や指先を傷つけてしまうことがあります。幼児期では、怪我や骨折、骨髄炎などを繰り返し、幼少時から成長するに連れて、運動機能障害などさまざまな症状が見られるようになります。

無汗症の原因

体温調節の大切な役割を果たす汗は、体温を下げ、熱中症などから身を守るだけでなく、熱疲労も改善してくれます。
  
暑いということを知覚中枢が感じ取り、それを体温中枢に伝え、そこから自律神経などが体の発汗部位であるエクリン腺に伝えることで汗をかきます。一連のサイクルでどこかの調節障害が原因となり、無汗症は起こります。
  
先天性と後天性があり、先天性無汗症では体毛や歯の異常を伴う場合、後天性では発汗中に皮膚に刺激を伴う場合があります。また、汗が出ない範囲が広範囲に及ぶ全身性と一部のみの限局性があります。いずれの場合も、エクリン腺自体の異常や中枢、脊髄、末梢などの神経障害により汗が出なくなります。

無汗症の治療法

無汗症を予防する方法や治療法は確立されていません。ただし、体温調節ができないため、熱中症などにならないように高温などの環境に気をつけながら生活をすること、場合によってはクールベストと呼ばれる着衣を必要とする場合もあります。子どもの場合、運動障害やケガなどの繰り返しでストレスをためやすい状態にあります。ストレス最小限に抑えるための周りの理解も大切です。
  
無汗症には多くの原因があるため、神経疾患の場合は神経内科、その他の疾患は内科など疾患によって専門的治療を行います。まずは、皮膚科専門医で診察を受け、どの科で治療をするのが適切なのかを判断します。