薬傷の症状

薬傷の症状は、化学薬品の種類、温度、濃度、接触時間によって異なります。

初期症状が皮膚の水ぶくれや、腫れだけで、通常の熱傷と似たような状態でも、数時間かけてゆっくり皮下深部まで進行する場合がほとんどです。

化学物質によって受傷部の色調は異なり、硫酸では褐色、塩酸や硝酸では黄色を示します。

硫酸によって起きた損傷は深いものになりやすく、広範囲に強酸による損傷を受けた場合には、腎臓や肝臓の機能に障害が出ることがあります。

アルカリによるものの方が酸によるものよりも深い部分にまで症状が出やすく、蛋白融解作用により受傷部は白色から褐色になり軟らかくなります。

灯油がついた衣服を着ている場合に起きる損傷では、通常は浅い熱傷を示します。

薬傷の原因

薬傷の原因は様々ですが、多くは工場や実験室での事故により薬品を皮膚に受けることが直接的な要因になります。

家庭での、消毒薬、洗浄剤、漂白剤などの薬品の誤用が発端で傷を受けることもあります。

化学物質そのものによる皮膚の損傷のほか、発熱作用が二次的に生じたことにより損傷が発生する場合があります。

原因物質が膨大な数に及ぶため、応急処置も薬品の種類や損傷の程度によって様々です。

薬傷の治療法/予防法

薬傷の治療法


損傷を受けたら直ちに汚染した着衣を除去することや、大量の流水で1時間以上洗い流すことがオーソドックスな応急処置方法です

生石灰のように、水に触れると発熱する物質の場合、粉末を払い落としてから流水で洗います。

タールなどのように、水で完全に洗い落とせない物質の場合、有機溶媒やワセリンで除去します。

薬傷の予防法


予防の原則は、危険な化学物質を扱うときは厳重な防護をするということです。

眼を保護眼鏡または顔用シールドで守ったり、危険な気体を扱うときはガスマスクをいつでも装着できる状態にするなどが非常に重要です。

薬傷が発生するような事故が起こった際に、救助者が何も知らずに化学物質にさらされ、自ら犠牲になってしまう例が過去に多く見られています。

適切な防護手段がすぐ利用できるように準備しておくことが大切です。

防護対策以外では、作業手順や薬品を取り扱う際の規則を遵守することが薬傷の発生を抑える第一歩となります。