一酸化炭素中毒とは
一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素の吸入により生じる低酸素症状を主とする中毒です。一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンに親和性があるため、その分酸素を全身に運ぶ能力が落ちて、低酸素血症を引き起こします。重篤な場合には窒息による即死や意識消失をきたすことがあります。換気不足や不完全燃焼に起因する事故、火災現場などで起きるケースが多く、一酸化炭素が結合したヘモグロビンは鮮やかな赤色となるため、低酸素にも関わらず顔色や手足が青くならなず、血色よく見えるのが特徴的です。
一酸化炭素中毒の症状
一酸化炭素中毒の症状は、頭痛や吐き気、めまいなどが中心です。吸入した一酸化炭素の濃度や曝露時間により症状の出る早さが異なります。
空気中濃度と吸引時間による中毒症状は次のとおりです。
・0.04% 1-2時間で前頭部痛・吐き気、2.5-3.5時間で後頭部痛
・0.16% 20分で頭痛・めまい・吐き気、2時間で死亡
・0.32% 5-10分で頭痛・めまい、30分で死亡
・1.28% 1-3分で死亡
このほか、手足の痺れ、けいれん、意識障害などの症状や、肺水腫、脳浮腫を起こすこともあります。
また、急性の一酸化炭素中毒から回復後しばらく経ってから、脳の淡蒼球という部位の壊死に至り、認知症様の症状を起こすことがあり、慢性一酸化炭素中毒(間欠型一酸化炭素中毒)と呼ばれます。
一酸化炭素中毒の原因
一酸化炭素はヘモグロビンとの親和性が酸素よりも圧倒的に高いため、少量でも吸引すると血中のヘモグロビンは一酸化炭素と結合し、その結果、ヘモグロビンによる全身への酸素供給が阻害されて低酸素症、一酸化炭素中毒が起こります。特に酸素需要の多い脳が酸素欠乏となりやすく、大きな障害を負った場合には、意識障害など重篤な症状が発現し、死亡することもあります。
一酸化炭素は自動車の排気ガスに含まれており、また、不完全燃焼をおこした際にも発生します。煙突や自動車のマフラーの不備、気密性の高い住宅で練炭や石油を用いて換気を怠った際などに中毒事故が起きています。
一酸化炭素中毒の治療法
一酸化炭素は無色無臭のため感知しにくく、ひとたび一酸化炭素中毒事故が起こると深刻な健康被害をもたらしますが、事故の多くはこまめな換気で防げます。家庭では換気扇の使用や警報機の設置により防止や早期発見が可能です。屋内設置型ガス機器を使用している場合は、不完全燃焼防止装置付きガス機器への交換が推奨されています。
車利用の際は、窓の開放やマフラーの状態確認を行い、車内に一酸化炭素が充満しないよう注意します。
建設業などの作業場においては、換気に加えて適切な作業手順の遵守が事故防止に有効です。
一酸化炭素中毒を発症した場合の治療は、酸素欠乏への対策です。軽症の場合は、新鮮な空気の場所に移動すれば改善しますが、症状がつよい場合は酸素吸入や高圧酸素療法が行われます。
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