先天性股関節脱臼とは
先天性股関節脱臼とは、股関節の骨盤側のくぼみが浅いため、大腿骨がうまくそのくぼみにはまらず脱臼を起こしてしまう病気です。生後3ヶ月から4ヶ月に発見される事が多く、女児や骨盤位の経腟出産の児(お尻から生まれてきた赤ちゃん)によく見られる病気です。リーメンビューゲル法と呼ばれるやわらかいバンドでカエルの足の位置に固定する方法により自然と元の位置に骨を戻す(整復する)方法が広く行われています。
先天性股関節脱臼の症状
先天性股関節脱臼は、乳児のおむつ替えの際に母親もしくは、それらの行為を行う人が気付くことも多いですが、気づかずに健診などで見つけられることも多いです。基本的には乳児は関節が外れた際にも痛みや違和感を感じない為、他の病気のようになんか泣き方がおかしい、機嫌が悪いといった事もありません。
代表的な症状、注意すべきポイントとしては、おむつ替えの際、着替えなどの際に足を広げると左右対称に脚が開かない、足に左右差がある、又は脚の開きが悪く、膝を曲げた状態で脚を開こうとすると、足の内側で、パキっ、ポキっなどといった音が聞こえる、といった事があります。この音は内側で関節がはまったり又は元に戻る際に生じる音なので、普段の生活の中でこうした音がたびたび聞こえてくるようであれば注意が必要です。
また、他にも、歩き始める時期が周りと比べて遅く、脚を引きずるようにして歩く場合にも脱臼の可能性が考えられます。
先天性股関節脱臼の原因
先天性股関節脱臼ですが、生まれた時から症状がある先天性としての発症は1割ほどであり、残りの9割は、ほぼ後天的な原因によるものです。先天性股関節脱臼の原因は、ホルモンの関係や遺伝の関与、子宮内環境や出生後の因子などが考えられていますが、まだはっきりしていません。原因が単一ではなくいろいろな要素が複合して発症します。
先天的ななりやすさに加えて環境など外的要因が加わることにより発症します。
産まれたばかりの乳児は、大人の体型とは異なり、あおむけに寝かせると、脚はかえるのように曲げ広げた状態になります、ですがそれはその年齢の乳児にとってはその体制、形が楽なものであり、自然的な形です。
その体制を無理に変えようとしたり、下肢を伸ばした位置でオムツをしたり、スリング、おくるみなどで足を固定したり、通常とは違う負荷がかかることによりこの病気を発症する誘因となります。
産まれたばかりの乳児は、関節や骨は大人に比べると非常に柔らかく、外れやすく、ズレやすい状態にあります。痛みは伴いませんが放置すると骨の変形を招く危険もあります。
先天性股関節脱臼の治療法
先天性股関節脱臼の予防としては、普段の生活の中でこうした病気もあると頭に知識を入れておき、少しの違和感や変化に気付ける事が大切です。おむつ替え、着替えの際などに疑わしい症状が見られたら早めに病気への診断を心掛ける事です。他に、産まれた時になんら問題は無いといった状態であっても日々のおむつ替え、着替えの際には乳児の身体に必要以上の負担がかかっていないか、足を閉じた状態で固定していないか、無理な体制で無いかを気を付けながら行う事が発症を未然に防ぐ事につながります。普段からあおむけに寝かせる際には乳児の脚はM字の体勢を心掛けると良いです。
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