脳動静脈奇形とは
脳動静脈奇形とは、発生過程で脳の血管形成に異常が生じた先天性の疾患を指します。通常は脳内にある動脈と静脈が、ナイダスと呼ばれる異常な血管により、直接つながってしまう場合が多く、若い人の脳内出血・クモ膜下出血の原因となったり、痙攣発作や麻痺などを起こすことがあります。形態や太さ、ナイダスの大きさなどにより出血の可能性が高いと考えられる場合には、外科的切除術やカテーテルによる治療、放射線治療(γナイフなど)が行われます。
脳動静脈奇形の症状
脳動静脈奇形は先天性のもので、発症部位によって症状には個人差があります。大半の場合は無症状で、けいれんやなんらかの不調が出て初めて気づくという事例が多くなっています。脳動静脈奇形を持っていた場合、最も気をつけなければならないのが脳内出血です。脳動静脈奇形をおこした部位によって症状が異なり、頭痛、吐き気、嘔吐、さらに言語障害や視野障害などがあります。一度、脳内出血が起きたものは再出血する可能性が高いです。
次に多いのは、くも膜下出血です。くも膜下出血に発展した場合、命に関わったり、重篤な後遺症を残すことがあります。
また、てんかん発作や認知症症状なども引き起こしたりしますが、頭痛だけが現れることも少なくないです。
脳動静脈奇形の原因
脳動静脈奇形は、日頃の生活習慣などが原因で起こるものではなく、先天性の疾患で、生まれつきのものです。母体に宿る胎生3週目頃に、胎児の脳の血管が分裂します。その時に、本来は動脈、毛細血管、静脈と分かれるはずのものが、なんらかの異常のため毛細血管を欠き、動脈と静脈が直接繋がってしまいます。直接動静脈が繋がってしまった血管は、年齢とともに成長して、個人差はありますが次第に大きくなっていきます。何故毛細血管が正常に発育せず、このような事象が起きてしまうのかについては、はっきりした原因は現時点では不明です。
脳動静脈奇形の治療法
脳動静脈奇形は先天性によるものなので、疾患そのものの予防方法は未だ原因と共に確立されていないのが現状です。もし、この疾患が発見された場合、治療には主に脳動静脈奇形からの出血を防ぐために、開頭摘出手術、血管内治療による塞栓術、ガンマナイフと呼ばれる放射線治療などを駆使することになります。開頭手術では異常血管を摘出します。血管内治療ではカテーテルを用いて異常血管を塞ぎます。放射線治療は小さく手術の難しい病変に特に有効で、やはり異常血管を閉塞させることができます。
また、一度摘出手術などを行った場合でも、その後の再出血を未然に防ぐことが重要です。
けいれんがある場合には、抗けいれん薬を使用します。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください