未熟児網膜症とは
未熟児網膜症は、在胎週期34週未満、出生体重1800g未満の未熟児に起こりやすい疾患です。赤ちゃんの網膜の血管は通常36週に完成しますが、その前に産まれた場合では、未発達な血管により血流が不足する部分から血管新生因子が放出され、異常な血管が形成されたり、それにより網膜剥離などにより視力に影響を及ぼす可能性があります。ハイリスクの赤ちゃんでは定期的に眼科的診察を受け、必要に応じてレーザー治療などが行われます。
未熟児網膜症の症状
未熟児網膜症は、新生児の網膜の問題のため、眼科医の診察なしでは症状は気付くことはできません。未熟児網膜症のタイプによっては、血管成長が異常なペースで進行するため、網膜剥離を併発し、視力の低下や、失明することもあります。
急速に進行するタイプでは、治癒したケースでも高頻度で近視、斜視、弱視などの視力障害が起こります。程度は未熟児網膜症の瘢痕の程度によると考えられています。よって未熟児で生まれた赤ちゃんは必ず眼底検査を未熟児網膜症の危険性が判断されるまで定期的に行います。起きている場合は血管の伸び具合、怒張の程度により治療の有無を判定し、タイミングを計ります。
未熟児網膜症の原因
未熟児網膜症は、早産のため早く生まれた場合に、網膜の血管が途中までしか伸びず、血管の伸びが途中でとまってしまい、血管が枝分かれしたり、眼の中心にむかって立ち上がったりと、異常な発達をすることで起こります。また、未熟児として生まれた赤ちゃんを救命するために必要な高濃度の酸素が、血管が収縮し閉鎖を引き起こすこともあります。保育器の中は高濃度の酸素のためこの状態でも問題なく成長しますが、保育器から出ると閉鎖した網膜血管を補おうと異常な新生血管が形成され、そこに血液が流れると出血したり、重症の場合は繊維性の組織を伴って伸びていくため、網膜が引っ張られ柔らかい赤ちゃんの網膜が破れ、網膜剥離を引き起こします。
この他に呼吸窮迫症候群、交換輸血も要因になります。
未熟児網膜症の治療法
生まれた時の体重、時期、全身の症状によってひとりひとり全く異なる症状をみせる疾患です。ですから未熟児網膜症によって失明を引き起こさないよう、必要な時期に速やかに眼底検査を受けしっかり経過観察しながら適切な治療を受けることが大切になります。網膜血管の収縮と増殖は、2~3ヶ月がピークで生後6ヶ月を経過するとそれ以上の進行はないと言われていますが、未熟児網膜症の診断があった場合は、必ず医師の指示に従っていくことが重要です。
医学の進歩により適切な弱視治療を受けていけば、視力の低下を予防することに繋がります。
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