未破裂脳動脈瘤とは
未破裂脳動脈瘤とは脳動脈にできた瘤(こぶ)を指します。大きいもの、前交通動脈や内頸動脈-後交通動脈分岐部の動脈瘤、不整なふくらみ(ブレブ)のある動脈瘤では破裂してクモ膜下出血を起こしやすいといわれています。通常破裂しなければ症状はないものの、内頸動脈と後交通動脈分岐部に生じた脳動脈瘤では近くを動眼神経が通るため圧迫により動眼神経麻痺をきたすことがあります。
未破裂脳動脈瘤の症状
未破裂脳動脈瘤はの症状は大半が無症状です。しかし、動脈瘤が大きいときには神経を圧迫しものが二重に見えたり、またはめまいがする等の症状が出るものもあります。また頭痛が出ることもあり、その場合破裂の危険性が高い場合がりますので、注意が必要です。脳動脈瘤が破裂する確率は、大きいものも小さいものも含め全体では、年間0.64%程度で、動脈瘤の大きさが大きいほど破裂率が高くなり、5ミリ以上の動脈瘤全体であれば、破裂率は年間1.1%という報告があります。25ミリ以上の巨大脳動脈瘤では年間8%程度という報告もあります。
動脈瘤が破裂するとくも膜下出血となり激しい頭痛に襲われたり、突然こん睡状態となります。発症した人の50~60%の人が死亡したり寝たきりになるなど、一命を取り留めても重篤な後遺症が残る危険性の高いものです。
未破裂脳動脈瘤の原因
未破裂脳動脈瘤の原因ははっきりとしていませんが、脳動脈の枝分かれする部位が圧力にやや弱く、そこに血流があたり続けることで血管がふくらみこぶが出来る説が有力です。また男性より女性の方が発症率が高くなっています。一等親以内でくも膜下出血の家族歴がある人が、そうでない人と比較した場合4倍の発症率と言われています。
また動脈瘤がある患者さんでは、高血圧・喫煙・多量の飲酒のいずれか一つでもあると、動脈瘤が大きくなりやすくなります。
常染色体優性多発性嚢胞腎という病気などでは、脳動脈瘤ができやすいことがわかっており、その場合は特に注意して定期的に検査をすることが重要です。
未破裂脳動脈瘤の治療法
未破裂脳動脈瘤の予防のは、高血圧にならいよう減塩など生活習慣に気をつけること、禁煙することなどです。また早期発見のためには定期的な検診が有用です。先述の通り大半が無症状ですが、検診のMRI検査でこぶを見つけ出すことが可能です。
もし動脈瘤が見つかった時は、主治医の先生とよく相談し今後の治療方針を決めることが重要です。もし動脈瘤の大きさが大きかったり、こぶの形が悪いときには外科的処置が必要となります。治療法には開頭手術により動脈瘤を直接クリップで挟んで閉塞させる治療法の他に、最近では血管内にカテーテルという細い管を入れ、動脈瘤まですすめ、動脈瘤内に金属コイルを詰めることで閉塞させる治療も増えてきています。動脈瘤の部位や患者さんの状態に応じ、どちらの治療法が良いかが決められます。
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