脳挫傷の症状

脳挫傷は、大脳の衝撃を受けた部位及びその反対側の頭蓋骨内側に打ちつけられるなどして損傷した部位が、脳出血や断裂、浮腫を起こした状態です。臨床症状としては、頭蓋内圧亢進などによる頭痛、めまい、嘔吐、意識障害、運動障害、けいれんなどが現れます。重症の場合は昏睡状態になり、命の危険にさらされます。
予後は意識障害の程度により、昏睡状態に陥る重症脳挫傷であった場合は、治癒後に機能障害や知能障害、精神的な症状といった後遺症をもたらすこともあります。

脳挫傷の原因

脳挫傷は頭部を強打するなどの外傷により起こる病態です。
外傷を受けた際に受傷部位が直接ダメージを受けるほか、受傷部位の反対側の脳表面も頭蓋骨内部に打ち付けられるなどして損傷します。また、受傷時の外圧により骨折した頭蓋骨片によって受ける直接的な損傷もあります。事故や落下時のように急激な加速・減速が脳に加わると、直接的な損傷以外に、回転加速度により脳が捻じ曲げられる力が加わり、神経全体の損傷が及びます。このような損傷は局所損傷よりも診断が難しいことがよくあります。
脳挫傷の原因の多くは、自動車事故などによる交通事故です。その他に転倒や転落事故、スポーツやレクレーション活動中の事故、業務上の不注意等による事故、暴行などがあげられます。

脳挫傷の治療法

脳挫傷の予防としては、適切な保護具による頭部の保護が有効です。以下のようなシーンが挙げられます。

・自転車の運転時
・格闘技、アメリカンフットボール、ラグビーなどのコンタクトスポーツをするとき
・ボルダリングやロッククライミングなど転落の危険性があるスポーツをするとき
・頭部打撲や転落、転倒の恐れがある作業現場で就業するとき

これらの場面では、ヘルメットや防具、ハーネスなどの安全ベルト等を用いて頭部を保護します。また、手順や規則などの遵守徹底も脳挫傷を伴うような大事故の発生回避に有効です。
 治療はまず投薬や全身管理などの保存療法が行われますが、脳圧亢進や大きな出血を合併した場合は、脳圧降下や血腫除去のために手術を行うこともあります。てんかんの原因となることも多く、抗痙攣薬が必要になります。障害に応じてリハビリを行います。