裂手症の症状

裂手症は、先天的な手の異常により指の欠損とともにV字状の深い切れ込みが入った症状で、多くの場合、中指が無い状態が見られます。人差し指や薬指が無かったり発育が十分でない場合もあり、特定の指の骨がほとんど無かったり、途中までしか無いなど、状態によってさまざまなケースがあります。
  
分化障害のひとつと考えられており、隣の指と融合した状態になっている合指症や、指が斜めを向いている斜指症、腱や筋肉の異常で指が屈曲している屈指症などを伴うこともあります。また、男児に多く発生する傾向があります。
  
手を握ったり開いたりすることは可能なため、不自由ではあるものの物をつかむといった機能は保たれていることが多いので、手術時には主に外見上の改善を目的に行います。

裂手症の原因

裂手症になる原因は明確には判明していませんが、生まれつき異常をもった先天異常疾患であり、遺伝による要因も関連していると言われています。遺伝要因としては現在3つの原因座位が判っているものの特定できないものも多く、遺伝要因自体を疑問視する考え方もあります。
このような先天異常を起こす原因は遺伝のほかにも、母体の疾患やウイルス感染、薬剤、被ばくなど多くの可能性があります。
  
胎児の主要な器官が形成される妊娠5~10週の時期に異常要因の影響を受けると、その後の胎児の各器官の生育に異常が出やすいとされています。そのため、四股のほか内臓や脳などにも同時に障害が出ることがあり、裂手症においても、心臓など全身のさまざまな臓器の異常を伴うことも少なくありません。

裂手症の治療法

裂手症は先天異常疾患のため予防的措置を講じることは難しいですが、妊娠時の基本的なケアにしっかり気を付けることで、リスクを減らすことはできます。アルコールやたばこを控えたり、ビタミンAの過剰摂取に注意するほか、激しい運動や重いものを持つことを避けるといったことには、しっかり注意することが大切です。
  
また、手術は手の動きが確立してしまう前の2~3歳までに行うのが良いとされています。主に外見上の改善を目的とした整形外科的手術になり、切れ目を引き寄せてつなぎ、合指がある場合は分離します。形を整えることで機能を妥協しなければならないこともありますが、腱などの構造を保持できる状態であれば、逆に機能の向上が期待できます。