自己免疫性肝炎の症状

自己免疫性肝炎は40~50代の中年女性に多く発症し、初期症状は全身の倦怠感や食欲不振です。また4割近くの人に黄疸が見られ、関節痛や発熱を訴える人もいます。中には無症状の人もいますが血液中に自分の細胞を異物として攻撃する自己抗体が検出されることから診断に至ります。
  
また他の自己免疫性疾患である慢性甲状腺炎や関節リウマチなどと併発する場合もあります。自己免疫性肝炎は病気が進行すると肝硬変と言われる状態に進行し、腹水や黄疸、上半身の血管腫などの症状が見られるようになります。そのため初期症状である倦怠感や黄疸を感じたら早期に受診、治療する事が大切です。

自己免疫性肝炎の原因

自己免疫性肝炎の原因は残念ながらはっきりとは特定されていません。しかし血液中に自己抗体が検出されることや自己の免疫をおさえる副腎皮質ステロイドの治療が効果的であることなどから、自己免疫異常が発症に関係あると考えられています。自己免疫異常とは、通常は細菌やウイルスを排除するための免疫機能に異常が起こり、自分自身の細胞を誤って攻撃してしまうことです。自己免疫性肝炎の場合は、自分自身のリンパ球が自分の肝細胞を攻撃してしまい肝臓に炎症が起こると考えられています。
  
自己免疫異常が起こる誘因として考えられているのはストレスや紫外線、薬剤の使用やウイルス感染の関与です。他の肝障害に見られるような肝炎ウイルスやアルコールなどは原因にはなりません。
  
また自己免疫性肝炎は遺伝性はないという考えが一般的です。

自己免疫性肝炎の治療法

自己免疫性肝炎は原因が特定されていないため、予防することは難しい病気です。しかしながら早期に発見ししっかりとした治療を行うことによって進行を止めることができる病気です。
  
そのためには定期的な健康診断を受けることが大切です。特に40~50代の中年女性は発症例が多い年代なので、定期的な血液検査と共に体調に異変を感じたら放置せず、早めに受診するのが推奨されます。また、日頃から自分の健康を気遣い、生活のリズムを整えて穏やかに生活することなども予防につながります。

自己免疫性肝炎の治療は、副腎皮質ステロイド薬の内服が基本となります。肝臓へのダメージを防ぐために、長期内服が必要になることがありますので、主治医の指示に従い、副作用によく注意しながら治療を続けることが重要です。