しらくも/頭部白癬とは
しらくもは、水虫の原因菌としても知られる「白癬菌」が髪の毛や頭皮に感染して起こる皮膚疾患です。本来は小児に多くみられる疾患ですが、最近では老人ホーム等での高齢者間の感染も増えています。フケと脱毛が主な症状ですが、放置していると悪化し、リンパ節の腫れや頭部全体に及ぶ広範囲な脱毛につながることもあります。
しらくもの症状
しらくも(頭部白癬)に感染すると、髪が抜けやすくなる・フケやかゆみ、といった症状があらわれます。初期の段階では頭部白癬であるかどうかの自己判断は困難ですが、白癬菌は毛穴に入りこんで感染するため、ブラッシングするだけでも簡単に抜けるようになり、感染した毛穴の周囲には乾燥した皮膚が剥がれ落ちてたまる「落屑」がみられます。脱毛部位は丸いため、円形脱毛症の症状と混同されがちですが、円形脱毛症では落屑はみられないことがほとんどです。治療をせずに放置していると、
・身体の他の部分に白癬菌の感染が広がる
・菌の感染が体内に進み、発熱したりリンパ節が腫れたりする
など重症化することもあります。
頭部白癬が重症化して頭皮にたくさんの膿疱ができている状態は「ケルスス禿瘡」と呼ばれます。
しらくもの原因
「白癬菌」の感染です。白癬菌とは真菌の一種で、足の指や爪に感染したものを「水虫」と呼んでいます。真菌はカビの総称で、白癬菌も温かく湿った環境を好むため、汗をかきやすく、帽子等で蒸れた状態になりやすい頭皮は絶好の環境ともいえ、水虫がバスマット等を介してうつるのと同じく、帽子やタオルの共用で人から人へうつります。実際、頭皮白癬がみられる人の多くは水虫など身体の他の部位に白癬菌の感染があることが多く、治療時に患部に触れた手で頭皮や髪に触れてしまう等が原因となって感染していると考えられます。また白癬菌は人だけでなく動物にも感染することから、ペットを介しての感染の可能性もあります。
しらくもの治療法
白癬菌は健康な皮膚なら24時間、傷口等がある場合には12時間程度で感染するため、頭部白癬に関しては・毎日洗髪をする
・帽子やヘルメット等をかぶりっぱなしにせず他人と共用しない
といった心がけで予防が可能です。さらに水虫の治療中の方は、患部を触った手で頭皮や髪を触らないように注意しましょう。頭部白癬に感染してしまったら、皮膚科を受診し、抗真菌薬の処方を受けます。通常は外用の抗真菌薬で対処しますが、重症化している場合には内服も併用。治療期間は、感染した髪が完全に抜けて菌がいなくなるまで、2ヶ月から3ヶ月かかります。
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