症状

縦隔気腫には、外観で目視できる症状はありません。そのため縦隔気腫は
・胸の痛み
・呼吸困難
・痰に血が混じる
・チアノーゼが起きている
といった症状から予測されます。また縦隔気腫と同時に「皮下気腫」という症状があらわれることもあります。
  
皮下気腫は縦隔気腫のように痛みを感じることはないものの、皮下組織に空気がたまるため、患部に手を触れるとプツプツと空気がたまっているような感触が認められます。
外傷等の原因が認められない特発性の縦隔気腫の場合には、症状が進行することで顎の皮膚に皮下気腫同様空気がたまってくることもあり、やはり手で触ることで確認できます。縦隔気腫の確定診断は、胸部のCTやX線を用いて行なわれます。

原因

縦隔気腫は原因別に
1. 外傷性縦隔気腫
2. 症候性縦隔気腫
3. 特発性縦隔気腫
の3種類に分類することができます。
  
1は何らかの理由で気管や気管支に外傷を負ったことによって起こる縦隔気腫のことで、刃物など鋭利なもので胸や喉を傷つけられた場合や、交通事故等で強い衝撃を受けた場合、医療事故等が原因で引き起こされます。
  
2は喘息や肺の病気による激しい咳き込みで、肺胞の内圧が上昇し、破裂してしまうことが原因で起こる縦隔気腫です。食道破裂などによるものや、大腸菌等のガスを産生する菌による感染症が原因の縦隔気腫もこの分類に入ります。
  
3は非常にまれなケースで、関連する病気や外傷がない状態で突然発生する縦隔気腫のことを指します。

治療法

縦隔気腫の治療は、原因によって変わってきます。外傷性の場合には外傷の治療が最優先であり、外傷が治癒することによって縦隔気腫も治癒することがほとんどです。外傷性でない場合や、過去の外傷に起因する縦隔気腫の場合でも、軽度と判断されたケースでは、安静にして経過を観察することで自然治癒を待ちます。
  
静脈に障害がみられる、安静のみでは治癒に向かわないといった場合には、たまった空気を管の挿入によって排出する縦隔ドレナージが行われることもあります。原因について自己対処は不可能な為、縦隔気腫が起きていることがわかったら、即受診することが必要です。