奇形腫/胚細胞性腫瘍の症状

胚細胞性腫瘍の症状は、腫瘍が発生している場所によって様々です。精巣の腫瘍はお腹の片側だけにあるしこりとして発見されることが多く、卵巣の腫瘍も同様にしこりや頻尿、便秘、腹痛といった症状が起きます。尾骨の先端にできる「仙尾部奇形腫」はお尻のこぶとして発見される他、出生前に超音波検査によって見つかることもあります。


頭蓋内の腫瘍では頭痛や嘔吐、胸部では呼吸器の障害等がみられます。悪性かどうかの判断にはα-フェトプロテインが腫瘍マーカーとして使われます。症状が現れる年代は新生児から成人までと広いですが、腫瘍が発見される場所は
・新生児:仙尾部や腹部
・乳児:精巣
・学童以降:卵巣や縦隔、頭蓋内
にそれぞれ多くなっています。

奇形腫/胚細胞性腫瘍の原因

胚細胞腫瘍の発生は、胚細胞の元になる原子生殖細胞が、
1.性腺で腫瘍化する
2.胎児期に身体の他の部位に紛れ込み、迷入組織となったものが腫瘍化する
という2通りがあります。
  
いずれも「どうして腫瘍化するのか」ということについては詳しいことは不明ですが、
・染色体異常や遺伝子異常のある小児に発生する胚細胞腫瘍がある
・小児の精巣胚細胞腫瘍については白人の発症リスクが高い
・先天的に停留精巣だった場合にも精巣胚細胞腫瘍の発症リスクが高い
といった指摘がされています。
  
また、胚細胞腫瘍が良性から悪性まで非常にさまざまな様態を示す理由は、原子生殖細胞が元来、さまざまな細胞になることが可能なためです。成熟奇形腫以外の腫瘍は全て悪性です。

奇形腫/胚細胞性腫瘍の治療法

胚細胞腫瘍の治療の基本は、手術による切除です。ですが早期に見つかった腫瘍以外は、進行度によって、機能温存を前提とした手術の場合、そのままの大きさでは手術が難しいケースも多く、抗がん剤治療や放射線治療を合わせて行ない、縮小してから手術を行うこともあります。

治療方針は、腫瘍マーカーや腫瘍の生検、CTやエコー等の画像検査を行ない、腫瘍の大きさや転移、湿潤等から病期分類をした上で決定されます。悪性の場合でも転移がない場合の経過は比較的良いとされていますが、転移している場合の経過は5年生存率でおよそ6割以下と良好ではありません。