大腿骨頭壊死の症状

大腿骨頭壊死は初期にはあまり自覚症状がないといわれています。大腿骨頭が壊死して潰れ、発生から数か月から数年かけて痛みや違和感といった症状がでてくることが多いです。  
     
大腿骨頭壊死として最も多いのは原因不明の特発性大腿骨頭壊死であり、これはステロイド薬の大量持続的な投与やアルコール中毒がリスクであることが分かっています。これらのリスクファクターは大腿骨頭壊死の発生と発症の時間を早め、発見されたときにはすでに大腿骨頭が潰れている場合が多いです。
  
また、大腿骨頭壊死は両側性に起こることが比較的多く、壊死範囲が大きければ発症が早まります。範囲が小さければ自然修復することもありますが、程度についてはよくわかっていません。

大腿骨頭壊死の原因

大腿骨頭の栄養はその約80%が大腿深動脈由来の内側大腿回旋動脈の末梢枝である外側骨端動脈でまかなわれています。残りの20%は大腿骨頭靭帯から入る閉鎖動脈の寛骨臼枝の内側骨端動脈で補われていますが、この血行は小児期に途絶するとされ、きわめて不安定な栄養血管です。
  
さらに大腿骨頭自体は、骨端軟骨によって骨端と骨幹端とが分かれ血行もここで分断されます。このように大腿骨頭の栄養血管は側副血行に乏しく、大腿骨頚部骨折などで血流が途絶えると阻血性に大腿骨頭の壊死が起きやすいといわれています。
  
また特発性大腿骨頭壊死は阻血の原因が明らかとなっていません。小児におこるペルテス病では外側骨端動脈の閉塞などによって大腿骨頭に阻血性壊死が生じます。

大腿骨頭壊死の治療法

大腿骨頭壊死症として最も頻度の高い特発性大腿骨頭壊死症は、ステロイド薬とアルコールがリスクとなりますが膠原病などの疾患をもっているためにステロイド薬を服用している人はステロイド薬を中止することもできないので禁酒以外に特別な予防法はありません。
  
治療は壊死した骨の量や範囲、本人の活動性や仕事内容、基礎疾患によって変わってきます。壊死した骨の量が少なく範囲が小さい場合は特別な手立ては講じず経過観察が基本となります。我が国では大腿骨頭が潰れて痛みが出てきた場合には骨切り術というできるだけ自分の関節を温存する手術を行います。その他に人工股関節置換術や人工骨頭置換術が行われる場合もあります。