巨赤芽球性貧血の症状

巨赤芽球貧血は、様々な症状を呈します。種葉酸欠乏症では貧血症状に加え消化器症状がみられ、ビタミンB12欠乏症ではさらに神経症状が加わります。特に、ビタミンB12欠乏での悪性貧血は放置すると2~3年で死亡するため治療が必要です。  
悪性貧血の症状は多岐にわたりますが基本的に貧血症状と消化器症状、神経症状の3つに大別されます。貧血症状としては、頭痛、めまい、動機、息切れ、易疲労感、眼瞼結膜蒼白があります。消化器症状としては、食事において舌のしみる感じや痛みといった舌炎、舌乳頭萎縮、無胃酸症の症状あります。ときには年齢に不相応な白髪がみられることもあります。神経症状としては、四肢末梢の強いしびれ、腱反射の減弱、深部知覚障害、歩行障害、ロンベルク徴候、バビンスキー反射、ときには認知症がみられます。

巨赤芽球性貧血の原因

巨赤芽球貧血の原因はビタミンB12欠乏または葉酸欠乏の二つです。ビタミンB12が欠乏することでDNA合成障害が起き、核の成熟が障害されるため骨髄で巨大な赤芽球が作られるようになります。
  
ビタミンB12は胃酸や内因子などが関係し主に下部回腸で吸収されるのでそれに関連した原因がいくつかあります。多いのは腸内容の管腔内異常停滞によって腸内細菌が異常増殖しビタミンB12の吸収が阻害されるブラインドループ症候群、胃がんによる胃全摘、吸収不良症候群、広節裂頭条虫症、菜食主義者などの栄養の偏りなどです。葉酸欠乏の原因としては、アルコール中毒や薬剤性、吸収不良症候群、妊娠や悪性腫瘍に伴う需要増大があります。

巨赤芽球性貧血の治療法

胃がんなどの手術で胃全摘を行うと、胃酸の還元作用不足により鉄分の吸収が低下し半年~1年ほどで鉄欠乏性貧血になります。同時に胃全摘では内因子が欠乏するのでビタミンB12の吸収も低下し、全摘後3~6年で巨赤芽球性貧血を呈します。
  
悪性貧血の治療ではビタミンB12製剤を筋注することで治療します。ビタミンB12欠乏に対して葉酸を投与するとビタミンB12の需要が増大し神経症状の悪化をきたすため禁忌です。悪性貧血患者にビタミンB12による治療を行うと治療開始後4~5日目から網赤血球の増加がみられ、7日目頃ピークとなります。その後、数週間かけて貧血症状は改善します。

基礎疾患や手術歴がある人は、定期的に受診することが大切です。